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南極を喰らふ

日本から1万4千キロも離れた南極で観測隊員は一体何を食べているのだろう。11月しらせで出発した観測隊に共同通信の澤野林太郎記者が同行。南極料理人が作る南極料理を紹介しながら南極生活の裏話をお伝えします。

3月17日(128日目:あと2日)シドニー入港 

2010.3.18 11:41
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しらせからオペラハウスをみる隊員
しらせからオペラハウスをみる隊員

 この甘いにおいはどこかでかいだ記憶がある。そうだ草のにおいだ。オペラハウスを眺めながら、シドニーに入港した私を待っていたのは「文明圏のにおい」だった。
 ほぼ4カ月ぶりの都市。街を歩く。かつて見慣れた都市風景を網膜が認識を拒否している。
 勢いよく走る車。なぜあんなに速く走っているのだろう。排気ガスの臭い。
 真っすぐ歩けない人込み。なぜあんなに人がたくさんいるのだろう。香水の匂い。
 天高くそびえるビル群。なぜあんなに高くそびえているのだろう。生産消費活動が混在した文明のにおい。南極にはほとんどにおいはなかった。
 南極から文明圏に戻った観測隊員はおびえていた。
 「あんなたくさん人がいるところで歩けるだろうか」。28人しかいなかった世界からやってきた越冬隊員が高層ビル群を眺めながらつぶやいた。
 「風邪に気を付けなければ」。ウイルスが極端に少ない南極では1年間風邪をひかなかった。越冬隊員は久しぶりにくしゃみをした。
 夜、シーサイドのレストラン。色とりどりのネオン。あー電気がもったいない。
 ホテルでのシャワー。お湯が使い放題。あーお湯がもったいない。
 南極は私を確実に変えた。

澤野林太郎

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