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南極のぞき穴

シドニーから日本までは直行便ではなく、香港で乗り換えで、4時間ほど時間が空いた。  航空会社のラウンジに入ることができるという同行者の岡田さんにコバンザメのようにくっついていき、高級感あふれる空間で

サクラサク【最終回】

2017.3.23 19:02
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空港のロビーには大勢の出迎えの人が!
空港のロビーには大勢の出迎えの人が!

 

 シドニーから日本までは直行便ではなく、香港で乗り換えで、4時間ほど時間が空いた。
 航空会社のラウンジに入ることができるという同行者の岡田さんにコバンザメのようにくっついていき、高級感あふれる空間で缶ビールを握りしめ、間近に迫る約4か月ぶりの帰国と、今後の交友に乾杯をした。
 
 香港で飛行機に乗り込むと、見慣れた北半球の地図が目の前のモニターに表示されていて、ああもう日本はすぐそこなんだと実感。
 午後1時頃に羽田空港に到着すると、預け荷物が出てくるのを待つ間に58次夏隊が集合し、本吉隊長から「家に帰るまでが南極です」という言葉に続いてねぎらいの言葉をかけてもらい、一本締めで長旅を締めくくった。
 
 税関を通過しその向こうの扉が開くと、「おつかれさま」「おかえりなさい」と手作りのボードを掲げた大勢の人が視界に飛び込んできた。
 涙をあふれさせながら家族と抱き合う人、職場の同僚とがっちり握手を交わす人、南極にいる間に生まれた子供を初めて抱き上げる人―。
 今まで一緒だった仲間たちも、多くの人の支えがあって頑張ってきたのだと改めて思う。隊員同士も「お世話になりました。また会おう!」と握手を交わして、それぞれ帰宅の途についた。


 帰り道、都内の自宅近くでは桜が咲き始めていた。
 きょう、昭和基地の気温はマイナス18度を記録したらしい。

 ビルのすき間をめまぐるしく車や人が通り過ぎていく東京の町並みをぼーっと眺めていると、ペンギンの群れや、果てしなく続くかのように雄大な氷河や、降り注ぐようなオーロラが夢だったのではないだろうかという思いがふと胸をよぎる。
 でも、もちろんそんなことはない。
 この4か月間、僕がともに過ごした人々や景色はすべて写真に収められて大切に保管されているし、何よりも、太陽が沈まない白夜の日々に、時間を忘れて飲み交わした33人の越冬隊員たちがまさに今、昭和基地で活動しているのが動かぬ証拠だ。


 おーい、昭和基地のみんな、元気にしてますかー?


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 『南極のぞき穴』は今回をもって最終回となります。
 
 途中、僕の力不足で更新が滞ることもたびたびありました。
 観測隊員やしらせ乗員の方々からかけてもらった、「妻が〝『のぞき穴』にあなたが写っていた〟と喜んでいた」「母が『のぞき穴』を楽しみにしている」いう言葉を原動力に更新を続けることができました。
 
 「しらせ」乗員、57次越冬隊、及び58次隊のみなさま、そしてご愛読いただいたすべての方にこの場を借りて御礼申し上げます。
 
 南極観測隊に、乾杯。

 

「家に帰るまでが南極です」と、羽田空港であいさつする本吉隊長。
「家に帰るまでが南極です」と、羽田空港であいさつする本吉隊長。

 

サクラサク東京。
サクラサク東京。

 

武隈周防

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