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南極のぞき穴

シドニーから日本までは直行便ではなく、香港で乗り換えで、4時間ほど時間が空いた。  航空会社のラウンジに入ることができるという同行者の岡田さんにコバンザメのようにくっついていき、高級感あふれる空間で

ヒゲの話と南磁極 

2017.3.10 8:17
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南磁極を通過時の艦橋のコンパス。東に向かって進んでいるので「E」を指すはずが、真逆の「W」を指していた。
南磁極を通過時の艦橋のコンパス。東に向かって進んでいるので「E」を指すはずが、真逆の「W」を指していた。

 

今日は同行取材始まって以来最大のショッキングな出来事があった。
  
 金曜日だ!カレーだ!と喜んでいた矢先のことだったから、その出来事に出くわしたときの僕の気持ちの落ちっぷりといったらトウゾクカモメがペンギンのヒナめがけて滑空するよりも壮絶なものであった。
 
 昼時、カレーを食べていた僕がふと顔を上げると、見たことがない人が配膳の列に並んでいた。4か月近く一緒に行動してきた観測隊の中に、今更知らない人がいるとは考えがたい。でもあの優しい目元には見覚えがある。頭の中で、その顔に眼鏡をかけさせてみたり、パイプをくわえさせてみたり、モンタージュを繰り返していると、答えが出た。

 オーロラの研究をしている西山さんだ・・・けど、ヒゲがない。。。
 昨年12月にオーストラリアを出発してから一度もヒゲの手入れをしていない僕の最後の〝ヒゲ同志〟が、つるりとしたきれいな顔でそこに立っていた。
 僕のヒゲが頼りなくぼさぼさと伸びているのに対し、同い年の西山さんのヒゲは実にボリュームがあり、日に日に貫禄が増していて周りからの評判もよかったのに、、、帰路で一緒の57次越冬隊にも同姓の方がいるので、「私のことは〝ヒゲの西山〟と呼んでください」とついこないだも「しらせ」の乗員の方に自己紹介していたのに。。。
 〝ヒゲの西山〟はどこに行っちまったんだよぅ(T-T)
 僕はもう本当に心に穴が開いたような気分になって、自分のヒゲにカレーが付くのも気にせずに一心不乱に皿に向かった。
 「ヒゲを伸ばす目的を失った」という哲学的な理由でそり落とした西山さんに感想を聞くと、「なんだか裸を見られているようで恥ずかしい。少しのさびしさもあります」とのこと。
 そんな恥ずかしい思いをするなら帰国するまで絶対にヒゲをそるもんかと、僕は固く心に誓ったのだった。

 
 夜には、南磁極を通過した。
 気象庁の地磁気観測所から参加している平原さんによると、南磁極とは、地球の磁力線が垂直に真上に向かっている場所のことだそうで、小学校の頃に棒磁石の上に紙を置いて、その上に砂鉄を振る実験で見られた線が磁力線の身近な例とのこと。確かにそんな実験をやった記憶はあるが、それ以外僕は何も思い出せなかった…。
 ともかく、南磁極の上に立つとコンパスがきかなくなるらしいというので、午後9時過ぎ、船外に明かりを漏らさぬようまっ暗になった夜の艦橋に上がっていった。
 すると、普段は進行方向を示している操舵席の上のコンパスが、進路とは真逆の方向をさしているではないか。
 船内放送で南磁極を通ることがアナウンスされたこともあり、隊員の方もちらほら艦橋に上がってきては、コンパスを見て驚いていた。
 こんな場所に来ることになると分かっていれば、棒磁石の実験をもっと真剣にやっておくんだったなぁ。

夜の艦橋は真っ暗。カメラの感度を上げても操舵席の周りの計器類がぼぉっと浮かびあがるだけ。肉眼で見る明るさもこんなもんである。
夜の艦橋は真っ暗。カメラの感度を上げても操舵席の周りの計器類がぼぉっと浮かびあがるだけ。肉眼で見る明るさもこんなもんである。

 

きょうのしらせメシ。
きょうのしらせメシ。

 

 

武隈周防

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