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南極のぞき穴

シドニーから日本までは直行便ではなく、香港で乗り換えで、4時間ほど時間が空いた。  航空会社のラウンジに入ることができるという同行者の岡田さんにコバンザメのようにくっついていき、高級感あふれる空間で

ぬき足さし足

2017.3.7 9:24
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赤色灯だけがともる早朝の「しらせ」の廊下。
赤色灯だけがともる早朝の「しらせ」の廊下。

 

 朝5時30分、僕は他の隊員の方の部屋にぬき足さし足忍び込み、その寝姿を確認しては隣の部屋へと移っていくことを繰り返していた。
 そして隊員のおよそ30人の寝姿を確認し終わると、緊張からの開放感と安堵感に包まれたのであった―。


 別にあやしい趣味があるわけではない。
 初めてまわってきた「しらせ」での当直の仕事のひとつとして、今朝は僕が人員確認を行ったのだ。
 日替わりで回ってくる当直の朝は、起床時間の前に各部屋を回って観測隊が全員きちんと船にいるか確認することから始まる。
 観測隊居住区の通路は、右舷側と左舷側と二つあるので、一緒に当直だった小野さんと手分けして人員確認にあたった。女性隊員の部屋は、内線電話をかけたりノックをしたりして確認を行う。男性の隊員の部屋には直接入っていって、寝ている姿を確認することになっているため、起こしてしまったら申し訳ないと思うと忍び足に力が入ってしまった。
 このときにもしも誰かがいないとなると、夜中のうちに海へ落ちたりした可能性も出てくるため、徹底的な捜索活動が開始されることになっているが、そのような事態は発生していない。
 
 人員確認は当直の重要な仕事で、食事の度に食堂の「喫食札」を確認したり、夜のミーティングのときに全員出席しているかどうかチェックしたりする。
 確認が取れたら、艦橋に内線電話をかけて「観測隊77人、異常ありません」と報告(といっても、この報告の電話はもっぱら小野さんが入れてくれたのだけれど)。

 ちなみに喫食札とは、食堂の入り口にかかっている各隊員および同行者の名前が書かれた札で、食事の前には本人がこれを裏返す決まりだ。船酔いなどで食事をパスする場合も、札は裏返すことになっている。
 当直の仕事は他に、その日の気象記録を「当直日誌」に写したり、隊員宛に電報が届いているかを確認したり、夜のミーティングでの司会などだ。

 煩雑な作業はないが、普段このような当直がない職場で働いている僕としては、なんだか学生時代に戻ったようで新鮮な一日だった。

食堂の喫食札。
食堂の喫食札。

 

きょうのしらせメシ。早起きしたので久々に朝食もいただいた。
きょうのしらせメシ。早起きしたので久々に朝食もいただいた。

 

武隈周防

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