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北極を喰らふ

北緯約77度。北極点まで千数百キロのグリーンランドで、日本の北極観測隊と現地イヌイットは何を食べているのか。同行記者がルポする。

7月22日・北極海にイッカクを追う~イッカクの干し肉~

2012.7.25 21:50
イッカクの干し肉=22日、北極海上
イッカクの干し肉=22日、北極海上

 ここグリーンランドではイヌイットによる伝統的なイッカククジラの猟がなされている。イヌイットと一緒に極北の海にイッカクを追った。イッカクは長くとがった牙が特徴でユニコーンのモデルとも言われる。北極海に住むイッカクは乱獲の恐れもあり、今では伝統的なカヤックと銛を使った猟が主流だ。
 同行させてもらったのはカナックに住む猟師イラングアさん(52)。2人で小型ボートに乗り込み、氷山が浮く海を進んだ。ボートには銛の他にもライフルが2丁。私が寝る場所にもライフルが置いてあり、毎日ライフルの上に寝ることになった。「アザラシを捕るときに使うんだ」とイラングワアさん。そう言えばイルリサットの店でも普通にライフルが売ってあった。1丁約5万円だった。
 カナックでは今シーズン、シロクマ6頭が撃たれたという。シロクマは貴重な食料となり毛皮は生活必需品となる。ここでは銃は人を撃つためではなく、動物を撃つために存在する。銛などの道具は古来、獲物を捕るために編み出され発展してきた。しかしいつからか道具は獲物ではなく人との争いのために使われるようになり、武器と名前を変えた。一艘の船に銛と銃が一緒に積んである風景に、歴史を感じたような気がした。
 イラングワッカさんがイッカクの干し肉をくれた。ビーフジャーキーのような見た目だが、味はワイルド。かめばかむほど味が出て癖になりそう。ボートで寝る。

澤野林太郎

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