自分を知り目標を定め計画を立てる 小さいこだわりの積み重ねが上達への道

2022年10月06日
共同通信共同通信
中村 多聞 なかむら・たもん
砂浜をダッシュする多聞さんの教え子たち=中村多聞さん提供
砂浜をダッシュする多聞さんの教え子たち=中村多聞さん提供

 

 ロンドンで開催されたNFLのインターナショナルコンバインで、WR松井理己選手(富士通)が40ヤード走で4秒41の好タイムを叩き出しましたね。

 まだ25歳で体も大きいですし、ライスボウルのMVPですからスキルレベルは日本最高なのは間違いありません。今後も楽しみに情報を待ちたいと思います。

 

 さて今から15年ほど前、お店の経営とフットボールをやっている自分にとてもフィットするこんな言葉に出会いました。

 「小さいこだわりの積み重ねこそが、完全で大きな仕事を成し遂げる。安易な妥協は結局クオリティーを落とすことになり、ひいてはそれが失敗につながる」というものです。

 

 僕自身の経験を思い返してみると、弱小大学チーム時代はそれなりに全力で活動していたつもりではありましたが、今になって考えると安易な妥協ばかりだったなと。その後、小さなこだわりを積みに積んで日本で最も大きなトロフィーをもらうことができました。

 ですからお店の経営も同じように小さなこだわりを積み重ねて成功したいと心から願い努力しているのですが、何年経っても経営っていうのはなかなかうまくいきませんね。

 

 今回はタイトル通り久々の「第13回目の最強RBへの道シリーズ」ということで、その中でも細かいテクニックやスキル向上、ドリルの方法などではなく考え方や心の持ちようなどを中心に説明してみたいと思います。

 

 シーズンが始まり試合をしていく中で、若者たちはいろんな悩み事を抱えています。彼らと会話をしていると20年以上昔に自分が経験して通ってきた道をそのまま走っていて、だいたい同じなんですね。

 今よりうまくなりたい。試合でもう少し良い仕事がしたい。でも簡単には自分を変えられない。分かっちゃいるけど習った通りに作戦の役に立つ働きができない。

 身をていしてQBやチームを守る時に躊躇してしまい、つい逃げ腰になってしまうなどなどです。

 

 スポーツの上達において、RBも同じだと思うのですが、求めている結果によってやらなければいけない練習の量や質に違いはあります。

 どのようなレベルでもクリアしなければならないラインだとか基準になる位置というものがあるでしょう。プロのリーグ、社会人リーグ、学生リーグ、それぞれの中にもレベル差があり、自分は今どこの何を目指しているのかでアプローチの種類が違ってきます。

 

 そういった中で、自分に足りないものはなんだろうと考えることがあると思います。10人いれば10通りの悩みがあるでしょう。

 よくあるのは「体が細い」ですかね。そして「パワーをもっと手にしたい」でしょうか。

 

 また「もっと速くなりたい」なども多くの人が考えるポイントでしょうか。これらに関しては「小さいこだわりを積み重ねれば」目標に向かって結果が出続けることですので、まだ結果の出ていない人は単純にガッツが足りないだけですね。やっていないだけ。

 家柄もセンスも遺伝も体格も学歴も全く関係ありません。決めたその日からどれだけ積み重ねられるかだけです。

 

 でも「うまくタックルしたい」「うまくブロックしたい」「ボールの捕球がうまくなりたい」「うまく走りたい」という複合した動き、なおかつ相手のあることに関しては簡単な仕事ではないことを知らない人はいないと思います。

 

 そこで悩める若者たちと話していくうちに、個人差はありますが彼らには抜け落ちている箇所がチラホラ見受けられるのです。僕の場合のうまくなっていった順序としては今になって冷静に思い返すとこうでした。

①上の世界に憧れる

 自分の下手さや環境がつらくて悔しいけれど、どうしようもないのでとにかく上に行きたいと願う日々を過ごす。

②目標を定める

 自分より少し上手な選手と同じ評価を得てそのうち追い抜くを繰り返していく。打倒誰々を成功させても、まだまだ上があるので満足しない喜ばない。

③憧れる

 とにかくそのレベルに行くんだ、行きたいんだという思いが24時間365日全身から湧き出てきて、上の人たちに憧れてヤキモチを焼く。甲子園ボウルなどレベルの高い試合のビデオを毎日見てしまう。

④自分を知る

 目指している人たちと自分との差を全ての面で把握する。体力的な数値からスキルなどの全て。セルフスカウティングですね。

⑤計画を立てる

 体力的な面で目標の人たちを追い越すまでの鍛錬計画を綿密に立てる。

⑥取り組む

 とにかく1ミリでも効果があるような気がしたら、効果があると聞いたら、徹底的にやり続ける。

⑦耐えて待つ

 すぐに効果や結果が出なくても耐えて待つ。

⑧自分を信じる

 なんの根拠もなく「自分は必ず上に行くんだ、行けるんだ!」という謎の自信を持って自分の未来を信じる。

 となるのですが、関わっている選手の皆さんは目標もぼんやり、将来の自分像もぼんやり、計画もその日その時、待てずに即効性のあることに強く関心を示すという感じなんですよね。

 これって僕が20年以上続けているダイエットと同じで、気分次第でとりあえず痩せたいと思っているだけの甘い考えですよね。お金もかけずつらくもなく、すぐに痩せる薬や方法を欲しがる感じです。

 自分はどのリーグでどんなトロフィーが欲しいのか? どんな表彰台に立ちたいのか?何色のメダルが欲しいのか? 他人との比較ではなく、自分の記録をどこまで伸ばしたいのか?など目標の立て方は自由だと思います。

 

上達するためには基本を大切に=中村多聞さん提供
上達するためには基本を大切に=中村多聞さん提供

 

 そして現在の自分はどんなもんやねんと。数値で表せることは数値ではっきりと把握する。

 日本最高のレシーバーである前出の松井選手は40ヤードを4秒4で走ります。チームのサイトでは体重が書かれておりませんが、まあ推定90キロで考えたとした場合、松井選手と並ぶ(または抜く)にはどれくらい何が必要か分かりますので、自分と比較していつまでにどれだけのことをしてどのくらいの結果が必要かはっきりと分かりますよね。

 

 これだけのタイムを出そうと思えば陸上競技のスプリント練習も不可欠です。ようやく日本でもフットボールとウエートトレーニングだけじゃ全然足らない時代になりましたね。

 今は日本最高の選手をターゲットにしなくても、同じリーグの自分より上の選手でもいいのです。その人のスペックを調べたり直接聞いたりして、とにかく目標設定の基準値にすると頑張りやすいと思います。

 

 最強のRBになるには、まず自分より上にいる人の数を数える。その人たちの性能やすごさを知る。そしてその人たちを打倒するために対策を練って実行に移す。

 自分なりの小さなこだわりを貫けば、やがて光は見えてきますというお話でした。まあどんなことでも同じようなものですね。

 僕もお店の繁栄のために頑張りますので、皆さんも頑張ってくださいね。