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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

セクハラ訴訟で開幕から6試合の出場停止か ブラウンズのQBデショーン・ワトソン

2022.8.4 15:22 生沢 浩 いけざわ・ひろし
ブラウンズのトレーニングキャンプでファンにサインをするQBデショーン・ワトソン(AP=共同)
ブラウンズのトレーニングキャンプでファンにサインをするQBデショーン・ワトソン(AP=共同)

 

 最大24件ものセクハラ訴訟を起こされたNFLブラウンズのQBデショーン・ワトソンに対する処分として、今シーズンの開幕から6試合の出場停止という内容が元連邦裁判官によって提案された。

 

 従来はNFLのロジャー・グッデル・コミッショナーが公聴会などのリポートをもとに処分を決定してきたが、ワトソンのケースについてはNFLとNFL選手会によって推薦された元連邦裁判官のスー・L・ロビンソン氏に判断が委ねられた。

 

 NFLは少なくとも1年間の出場停止と500万ドルの罰金が相当であると主張していたが、ロビンソン氏は過去の処分例に照らし合わせてNFL側の主張を「公平ではない」と判断した。

 NFL選手会はロビンソン氏の提案を受け入れる方針だが、NFLは異議を申し立てる可能性がある。その場合、NFLは現地時間8月4日(日本時間5日)までに異議申し立てをしなければならない。

 

 ワトソンに対する訴訟はこれまでに1件を残してすべて和解または棄却されている。

 NFLは本人や原告となった女性たちへのヒアリングを行った上で215ページにわたるリポートを作成してロビンソン氏に提示した。

 ロビンソン氏はワトソンがNFLの定める行動規範に違反したことは明らかだとしながらも、暴力が伴った行為ではないことを勘案して処分を決めた。

 一方で、ワトソンが完全な無実を主張していたことに対しては「反省の色が見られない」と不快感を示した。

 

 ロビンソン氏の提案通り6試合の出場停止が決まっても、ワトソンは現在行われているブラウンズのトレーニングキャンプには継続して参加することができ、プレシーズンゲームにも出場できる。

 開幕戦から出場できなくなるが、練習は第4週から解禁となり、10月23日のレーベンズ戦(ボルティモア)で復帰できる見込みだ。

 

 ワトソンが欠場の間はジャコビー・ブリセットか、最近になって獲得したジョシュ・ローゼンがブラウンズの先発を務めることになりそうだ。

 ワトソンをトレードで獲得して、総額2億3000万ドル(約308億円)の5年契約を結んだブラウンズは、序盤にワトソンを起用できないのは痛いが、処分がNFLの主張よりも大幅に軽かったことに胸をなで下ろしているに違いない。

トレーニングキャンプでチームメートに指示を出すブラウンズのQBデショーン・ワトソン(AP=共同)
トレーニングキャンプでチームメートに指示を出すブラウンズのQBデショーン・ワトソン(AP=共同)

 

 納得がいかないのはNFLだ。多様性を重視し、女性進出を奨励するNFLにとってワトソンのセクハラ疑惑はその評判を傷つけるものだ。

 重い処分を主張し続けてきたのには、女性を支援するリーグの姿をアピールする狙いもあっただろう。

 NFLもこのままでは引き下がれない。残る1件の訴訟は2023年に再開される見込みで、ここでの判断次第で追加処分を決める可能性もある。

 30人以上もの女性を巻き込んだワトソンのセクハラ騒動の収束には、まだ時間がかかりそうだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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