【編集後記】Vol.402=「関大カイザーズ」

春のシーズンの主要な交流戦などは6月いっぱいで終わり、国内のアメリカンフットボールは束の間のオフを迎える。
学生アメフト界の二大勢力である、関西と関東の交流戦や定期戦は見応えのある試合が多かった。
そして、コロナ禍で窮屈な思いをしたファンが、試合会場でひいきチームを応援できる環境が徐々に戻ってきたのが何より嬉しい。
強豪同士の対戦で最も印象に残ったのは、5月28日に大阪で行われた関学大と関大の試合だ。
7―7で引き分けた一戦で、関大の2年生QB須田啓太選手のプレーぶりに目を奪われた。
テレビでの観戦だったが、その才能とスター性は画面からも伝わってきた。関大一高時代から、その存在は広く知られていた逸材である。
173センチ、78キロ。走力がありパスもうまい万能型のQBは、王者・関学大の守備網を自らの足で切り裂き、オフェンスのリズムを作っていた。
2年生は、大学4年間で一番伸びる時期である。人材を得た「カイザーズ」のコーチ陣もやり甲斐を感じているに違いない。
近年、関西学生リーグで関学大と立命大の壁に阻まれている関大が、最後に「甲子園ボウル」(全日本大学選手権決勝)に出場したのは2009年だ。
甲子園ボウルが、それまでの東西大学王座決定戦から現在の全日本大学選手権決勝という位置づけになった最初の年に、関大は法大を50―38で破って62シーズンぶり2度目の大学日本一になった。

春とはいえ、関学大との試合を見る限り、今秋のリーグ戦は関大を中心に展開するような気がしている。
6月26日。関大は富士通スタジアム川崎で法大との71回目の定期戦に臨む。
当日は気温が30度を超える猛暑になりそうだが、今春初の関東遠征となるカイザーズに注目したい。(編集長・宍戸博昭)