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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

一時代築いた名TEロブ・グロンコウスキーが引退発表 スーパーボウルで4度優勝

2022.6.22 12:39 生沢 浩 いけざわ・ひろし
2021年12月のファルコンズ戦で勝ち、ファンの声援に応えるバッカニアーズのTEロブ・グロンコウスキー(AP=共同)
2021年12月のファルコンズ戦で勝ち、ファンの声援に応えるバッカニアーズのTEロブ・グロンコウスキー(AP=共同)

 

 NFLのペイトリオッツとバッカニアーズで計11年間プレーし、スーパーボウルで4度の優勝経験がある名TEロブ・グロンコウスキー(33)が6月21日、自身のインスタグラムで現役引退を発表した。

 

 グロンコウスキーがNFLから引退するのは2019年春に続き2度目だ。このときはペイトリオッツで3度目の優勝を果たした後、体力の限界を理由にユニホームを脱いだ。

 しかし、翌年に盟友のQBトム・ブレイディがペイトリオッツを離れてバッカニアーズに移籍すると現役復帰を宣言。グロンコウスキーも合流し、バッカニアーズのスーパーボウル制覇に貢献した。

 

 グロンコウスキーはインスタグラムの投稿で「持てる力はすべて出し切った。いいときも悪いときもいつもフィールドに向かっていった。友人をはじめ、ここで出会ったすべての人との関係は永遠に続く。そしてすべてのチームメート、コーチに感謝したい」とつづった。

 

 生涯成績は621回のパスキャッチで9286ヤードの獲得、TDパスキャッチは92だった。

 オールプロに4回選ばれただけではなく、NFL100周年を記念するオールタイムチームにもTEとして名前を連ねた。間違いなく資格取得1年目で殿堂入りする選手だ。

 

 1回目の引退の時にも小欄で書いたが、彼の大きな貢献はフットボールにおけるTEというポジションを「再定義」したことだろう。

TEといえばブロッカーも兼ねる大型サイズのレシーバーだが、パスオフェンスにおける役割はWRに次ぐ二次的なものにすぎなかった。

 1990年代以降3、4人のWRを配置するパス隊形が一般化すると、TEはスピードがあってパスキャッチ能力の高いWRに取って代わられ、その存在が消滅の危機に直面することもあった。

 

 それを変えたのがグロンコウスキーだ。体格こそプロトタイプのTEだったが、彼が走るパスコースはWRと変わらず、当時のTEとしては珍しくフェードアウトのパスコースも得意とした。

 ラインアップする位置もTEの定位置であったOTの隣ばかりではなく、スプリットエンドやフランカーといったアウトサイドが含まれ、対戦するディフェンスとのミスマッチを生み出した。

 

 ブレイディという稀代のパサーとコンビを組んだこともあり、ペイトリオッツのパスオフェンスの中心にはいつもグロンコウスキーがいた。

 このコンビでTDパスが量産される度に、TEはパスオフェンスの主役として脚光を浴びるようになった。

 

今年2月、NFLの表彰式に出席したロブ・グロンコウスキー(AP=共同)
今年2月、NFLの表彰式に出席したロブ・グロンコウスキー(AP=共同)

 

 キャラクター的にもスター性に富んだ選手で、プロレスへの参加など派手な言動が話題を呼んだこともあった。そうした性格は敵も作りそうなものだが、不思議とグロンコウスキーを悪く言う人は少ない。

 

 筆者は2019年2月のスーパーボウルを中継したNHK-BSでフィールド解説を務めた際、試合後にグロンコウスキーにコメントをもらう機会があった。

 既に引退が噂されていた頃だっただけに「グロンク、将来のプランは?」と尋ねると「今は(スーパーボウルが)終わったばかりだから分からない。これからゆっくり考えるよ」と答えた。その時の晴れ晴れとした表情は、今でもはっきりと覚えている。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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