【編集後記】Vol.398=「2世選手」

長く取材をしていてよかったと思うのは、2世選手のプレーを見る機会に恵まれたときだ。
高校時代から活躍していた元名選手の息子さん。大学からアメリカンフットボールを始め、チームの中心選手になった2世とその経緯はさまざまだが、共通しているのは父親のDNAをしっかり受け継いでいることだ。
5月22日。アミノバイタルフィールドで行われた日大との試合で、中大の1年生DL佐々木敬尊選手は左のDEなどでフル出場した。
佐々木選手の父・康元さんは、日大が甲子園ボウル、ライスボウルで3連覇を果たした1990年度の主将で、日本代表でもキャプテンを務めたDEだ。
佼成学園高(東京)の3年時は、主将としてチームをまとめた敬尊選手。新人ながらエッジラッシャーのポジションを任され、QBに激しくプレッシャーをかけるプレースタイルは父親そっくりだ。
法政二高(神奈川)のWR藤田豪主将は、Xリーグの強豪・富士通の藤田智前ヘッドコーチの次男だ。

京大のQBとして活躍し、卒業後は長く水野彌一元監督の下で「ギャングスターズ」の黄金期を支え、アサヒ飲料、富士通を日本一に導いた父親の姿を見てきた。
豪選手が率いる法政二高は、6月5日の春の関東大会初戦で優勝候補の佼成学園高と対戦する。
東大のOL屋敷昌尭選手は、京大史上初の2年連続日本一を達成した1987年度のキャプテンだったOL利紀さんを父に持つ。
大学からアメフトを始めた昌尭選手は、リーダーシップを認められ主将に指名された。
金融庁の審議官という重職にあり多忙な利紀さんだが、今は「ウォリアーズ」保護者会の会長に就任し学生の支援に積極的に関わっている。

息子は父親の背中を見て育ち、「アメフトをやれと強要したことはない」と言う父親は、息子をそっと見守る。
今シーズンは、試合会場のスタンドに足を運ぶ回数が増えそうだ。(編集長・宍戸博昭)