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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.397=「ALL IN」

2022.5.19 13:25 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
早大との試合後、学生に話しかけるコーチを見守る立命大の藤田直孝監督(右)=5月15日・アミノバイタルフィールド
早大との試合後、学生に話しかけるコーチを見守る立命大の藤田直孝監督(右)=5月15日・アミノバイタルフィールド

 

 こちらの質問に、言葉を選びながら丁寧に答えてくれる人柄に好感を持った。関西学生リーグの強豪・立命大の新監督に就任した藤田直孝監督は「調整型」の指導者である。

 

 5月15日。東京・アミノバイタルフィールドで早大に40―29で勝った試合後、藤田監督はコーチ陣と学生のやり取りを静かに見守っていた。

 自分が前に出るのではなく、どうしたらチーム運営を円滑に進めることができるのか。それを第一に考えているように見えた。

 

 コーチ、大学職員として長くチームに関わってきた藤田監督は「自分には、前任者(古橋由一郎前監督)のようなカリスマ性はない。これまでに培ってきたマネジメントのノウハウを生かしていきたい」と、指導方針を話してくれた。

 

 「パンサーズ」は、2015年に甲子園ボウルで早大を28―27で破って優勝したのを最後に、6シーズン連続でライバル関学大の厚い壁に阻まれ、学生日本一の座から遠ざかっている。

 「リーグ戦で勝っても(甲子園ボウルへの出場権を懸けた)西日本代表決定戦では関学に勝てない。何が悪いのかを模索している。ゼロから変えていく必要があると思っている」

 

 勝っているチームに有望な高校生が集まってくるのは、いつの時代も同じだ。

 「この選手が欲しいと思っても、関学でやりたいと言われればそれまで。リクルートを有利にするには、勝つことが大事になる。関西のフットボールを盛り上げるためにも、我々の責任は重い」と藤田監督は言う。

 

 藤田監督は立命大が初出場、初優勝した1994年の甲子園ボウルで4年生LBとしてプレーした。

 当時のチームにはQB東野稔(2年)、LB河口正史(3年)ら後輩にスター選手がいた。藤田監督は「僕らは目立たない4年生だった。下級生に連れて行ってもらった甲子園ボウルだった」と振り返る。

インタビューに答える立命大の藤田直孝監督=5月15日・アミノバイタルフィールド
インタビューに答える立命大の藤田直孝監督=5月15日・アミノバイタルフィールド

 

 早大戦後のハドル。守備の要であるLB坪倉拓未副将は、仲間を前にこう言っていた。

 「(早大のように)甲子園ボウルに出てくるようなチームは、諦めないで追い上げてくる。気を緩めたらあかん。最後までやり切らんと」

 

 4年生が考えたという今年のスローガンは「ALL IN」。そこには、打倒関学大に向けてチームに全てを捧げるという思いが込められている。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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