セクハラ訴訟抱えるQBワトソンと面談 NFL、揺れる移籍先のブラウンズ

3月にテキサンズからブラウンズへ電撃移籍したQBデショーン・ワトソンが、テキサスでNFLの調査員と面談を行う模様だとAP通信がこのほど伝えた。
面談の内容は、一時30件を超えるセクハラ訴訟を抱えていたワトソンが、リーグの定める行動規範に抵触するか否かを判断するもので、ワトソンに対する処分の有無に影響を与える。
ワトソンは昨年、複数の女性から性的に不適切な行為をされたとして訴えられた。訴えた女性の数は少なくとも11人以上とされる。
これらの訴訟への対応とトレードによる放出の要望をテキサンズに聞き入れられなかったため、ワトソンは昨季プレーをすることがなかった。
今年3月に原告のうち10人の女性の訴えが棄却され、ワトソンは晴れてリーグ活動に復帰することが認められてブラウンズへのトレードが成立した。
ただし、現在も審議が中断している訴訟が22件あり、すべてがクリアになったわけではない。
NFLでは選手、コーチ、関係者に対する行動規範を定めており、それを逸脱する行為に対して出場停止などの処分を科す。
今回焦点になるのはワトソンがレギュラーシーズンへの出場停止処分を受けるか否かだ。
現時点では処分はなにも決定していないので、ワトソンはブラウンズでのオフシーズンプログラムに問題なく参加している。
仮に出場停止処分が決定するとすれば、過去の例に照らし合わせて4~6試合が妥当だと考えられる。これはブラウンズにとって大きな問題だ。
ブラウンズはワトソン獲得のために三つの1巡を含む計六つのドラフト指名権という大きな代償を払っているからだ。そこまでして獲得した選手をシーズンの4分の1近く起用できないのは戦力的にもチーム経営的にも痛手だ。
さらに2018年にドラフト全体1位で指名して昨年までスターターQBを務めたベイカー・メイフィールドの処遇にも大きくかかわる。
ワトソンを正QBに据えたいブラウンズは、いずれメイフィールドを好条件で他チームにトレードしたい意向だ。あわよくばそのトレードによって失った1巡指名権を一つでも多く取り戻したい。
しかし、ワトソンの出場停止が長期になれば、メイフィールドを必要とする事態が生じる可能性もある。ブラウンズにとっては不本意ながら、ワトソンとメイフィールドの二人を残したままシーズン開幕を迎えることもあるかもしれない。
ワトソンへの処分の有無が、いつ決定するのかは明らかになっていない。残る訴訟がペンディング状態であることも影響するかもしれない。
ブラウンズにとってはもどかしい状態がもうしばらく続くことになる。