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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.396=「監督の覚悟と気概」

2022.5.13 17:51 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
プロ野球中日の監督時代、マウンドで選手に声をかける落合博満さん
プロ野球中日の監督時代、マウンドで選手に声をかける落合博満さん

 

 プロ野球で3度の打撃三冠王に輝き、中日の監督としてチームを日本一に導いた実績のある落合博満さんが、ご自身のブログやyutubeで発信している内容が興味深い。

 独自の視点と物事に対する考え方がシンプルで分かりやすく、思わず「そうだよね」と膝を打ちたくなる。

 

 落合さんは監督時代、コーチと選手の会食を厳禁したそうだ。プライベートな空間では、普段の練習や試合では見せないお互いの顔が出る。

 「こんな一面があったのか」と情が移り、コーチが特定の選手をひいきすることを防ぐための方策だったという。

 

 プロスポーツのトップ選手は結果を求められ、その延長線上に勝利がある。成績が振るわなければ減俸や放出という厳しい現実が待っている。だからみんな努力する。

 

 落合さんは、選手が期待に応えられなくても叱ったことはないそうだ。「その選手を起用した監督の自分が悪い」。理由は明快だ。

 

 プロだから割り切ってできる部分もあるが、アマチュアでも同じだ。

 「スポーツは勝つためにやるもの」と明言する指導者ほど自らの人格形成に精進し、練習に工夫を加え周囲を巻き込み勝利を引き寄せる。

 

 コミュニケーションの大切さをチーム作りの根幹に据える今の時代。「いいからやれ」は通用しないが、選手の顔色をうかがってばかりでは強くならない。

 そこにはある程度の「強制」が必要になる。しっかり説明をした後に、お互いが合意の上で強度の高い鍛錬に取り組む環境作りができれば理想だ。

 ただ、そのさじ加減は難しく、教える側の覚悟も必要だ。

 

 どんなに相手が強くても、勝利への執念が感じられない淡泊なチームほど、見ていてつまらないものはない。

 不遇を周りのせいにするのは簡単だ。それを認めて腫れ物に触るような接し方で何とか事を進めようとするチームリーダーの姿勢もよくない。

 

 全ての結果責任は自分が負う。嫌われることを厭わない落合さんが示したそうした気概こそ、選手が危機感を持ち奮い立った要因なのだと思う。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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