明暗分けたその後 2年目でスーパーボウルに出場したQB

2022年02月09日
共同通信共同通信
生沢 浩 いけざわ・ひろし
地元シンシナティのファンとの交流イベントでスピーチするベンガルズのQBジョー・バーロウ(AP=共同)
地元シンシナティのファンとの交流イベントでスピーチするベンガルズのQBジョー・バーロウ(AP=共同)

 

 今季のNFL王者を決める第56回スーパーボウルは、2月13日(日本時間14日)にカリフォルニア州イングルウッドにあるソーファイスタジアムで開催される。

 AFC代表は北地区優勝のベンガルズ。スーパーボウルは1988年シーズン以来で通算3度目の出場だ。優勝はまだない。

 一方のNFCは西地区優勝でソーファイスタジアムをホームとするラムズが3年ぶり5度目の出場で、1999年シーズンに続く2度目のリーグ制覇を目指す。

 

 ベンガルズのジョー・バーロウ(2020年)とラムズのマシュー・スタッフォード(2009年)は、ともにかつてのドラフト1巡全体1位指名のQBである。

 スタッフォードはオフにライオンズからラムズに移籍して、13年目にして初めてプレーオフの勝利を味わった。バーロウは2年目で早くも1位指名の本領発揮というところだろうか。

初のスーパーボウル出場を果たしたラムズのQBマシュー・スタッフォード(AP=共同)
初のスーパーボウル出場を果たしたラムズのQBマシュー・スタッフォード(AP=共同)

 

 新人QBがスターターとしてスーパーボウルに出場した例はまだない。NFL在籍2年目でも、56回の歴史でバーロウが7人目だ。

 過去に達成した6人はダン・マリーノ(ドルフィンズ、1984年)、カート・ワーナー(ラムズ、1999年)、トム・ブレイディ(ペイトリオッツ、2001年)、ベン・ロスリスバーガー(スティーラーズ、2005年)、コリン・キャパニック(49ers、2012年)、ラッセル・ウィルソン(シーホークス、2013年)だ。

 ワーナーは1994年にドラフト外でパッカーズに入団したが、その後NFLヨーロッパやアリーナフットボールでプレーしていたため、NFLに復帰した1999年が公式な2年目となる。

 

 そうそうたるメンバーである。マリーノとワーナーは殿堂入りしており、最近になって引退を表明したブレイディとロスリスバーガーもいずれその仲間入りをするだろう。ただし、初出場してからその後のキャリアは明暗がくっきり分かれる。

 

 ワーナー、ブレイディ、ロスリスバーガー、ウィルソンはそれぞれスーパーボウル初出場で優勝を経験しており、ワーナーとブレイディはゲームのMVPにも輝いた。

 この4人に共通しているのは、その後もスーパーボウル出場の機会に恵まれたことだ。

 ウィルソンは1回、ワーナーとロスリスバーガーは2回ずつ、ブレイディに至っては9回も出場経験を積み上げている。

第56回スーパーボウルの会場となるソーファイスタジアム(AP=共同)
第56回スーパーボウルの会場となるソーファイスタジアム(AP=共同)

 

 敗戦を味わったマリーノとキャパニックは雪辱の機会に恵まれていない。

 数々のパッシング記録を打ち立て、名将ドン・シュラ・ヘッドコーチ率いる強豪ドルフィンズという環境にも恵まれたマリーノだが、1999年シーズンを最後に引退するまで毎年のようにスーパーボウル優勝を目指しながらも夢は叶わなかった。

 キャパニックは2016年シーズンを最後にNFLでの出場はない。

 

 マリーノはかつてこんなことを言っていたそうだ。「NFL2年目でスーパーボウルの舞台を経験したことで、チャンスは何度でも訪れるものだと思っていた。ところがそうではなかった。あの経験がどんなに貴重なものだったかを、後になって思い知ることになった」

強肩のQBとして活躍したドルフィンズのダン・マリーノ(AP=共同)
強肩のQBとして活躍したドルフィンズのダン・マリーノ(AP=共同)

 

 2度とスーパーボウルの舞台に立つことのなかったマリーノの言葉だけに重い響きがある。そこに到達することがいかに難しいかを言い得てもいる。

 誰もが夢見るが、誰でも叶えられるわけではない。トップアスリートの集団であるNFLであっても、ほんの一握りしか到達できない。それがスーパーボウルだ。