勝敗分けたキープレー NFLカンファレンス決勝

2022年02月03日
共同通信共同通信
生沢 浩 いけざわ・ひろし
チーフスのQBパトリック・マホームズ(15)をサックするベンガルズのDEサム・フバート(AP=共同)
チーフスのQBパトリック・マホームズ(15)をサックするベンガルズのDEサム・フバート(AP=共同)

 

 第56回スーパーボウルの出場チームを決めるカンファレンス決勝が1月30日(日本時間31日)に行われ、AFC決勝はベンガルズが3年連続のスーパーボウル出場を目指したチーフスをオーバータイムの末に27―24で破り、1988年シーズン以来となる33年ぶり3度目のNFL王座決定戦進出を決めた。

 

 NFC決勝はスーパーボウルの会場となるソーファイスタジアムをホームとするラムズが同地区ライバルの49ersに20-17で勝利した。ラムズのスーパーボウル出場は3年ぶり5度目だ。

 開催地をホームとするチームのスーパーボウル出場は、昨年のバッカニアーズ(フロリダ州タンパ、レイモンドジェームズスタジアム)に続き2年連続2度目である。

 

 奇しくも両カンファレンスの第4シードが勝ち上がった形だが、ベンガルズは18点差(カンファレンス決勝では史上最多得点差のタイ記録)、ラムズは10点差をひっくり返しての逆転勝利だった。

 両チームがスーパーボウルで対戦するのは初めてで、ベンガルズは初優勝、ラムズは1999年シーズンに続く2度目のリーグ制覇を目指す。

 第56回スーパーボウルは2月13日(日本時間14日)に、ロサンゼルス郊外のイングルウッドで開催される。

 

 カンファレンス決勝は2試合とも好ゲームで、最後まで目の離せない熱戦となった。

 ビッグプレーが起こる度にモメンタムを有するチームが変わり、最高レベルのリーグにふさわしいプレーが続出した。その中でも特に試合を左右するほどインパクトのあったキープレーを挙げてみたい。

 

 AFC決勝からはベンガルズのディフェンスプレーを取り上げる。場面は第4クオーターで、ベンガルズが新人Kエバン・マクファーソンの52ヤードFGで24―21とリードした直後のチーフスの攻撃だ。

 

 この試合で初めて追いかける展開となったチーフスは、自陣25ヤードからのドライブを始める。残り時間は6分4秒だった。

 チーフスとしては可能な限り時間を使ってドライブを進め、逆転TDをするというのが最善の筋書きだった。

 QBパトリック・マホームズの4回のパス成功やRBジェリック・マッキノンのランなどでベンガルズ陣内15ヤードまでボールを進め、2ミニッツウオーニングを迎えたまではシナリオ通りだった。

 

 ここからベンガルズは強烈なパスラッシュを連発してマホームズにパスを許さない。

 ベンガルズDEサム・フバートのQBサックで、チーフスがゴール前9ヤード地点で第3ダウン9ヤードとなった場面でそのプレーは起きた。

 

 TDパスを狙ったマホームズはオープンとなるレシーバーを探すが、どの選手もカバーされていて投げられない。ポケットの中で小刻みに動いていたマホームズがスクランブルに出ようとした瞬間だ。

 このプレーでマホームズの動きだけを注視する「スパイ」の役割を与えられてスクリメージラインから数ヤード離れた場所にいたフバートは、マホームズが投げあぐねているとみるや持ち場を離れて猛ラッシュをかけた。この判断が奏功し、QBサックで15ヤードをロスさせることに成功した。

 このプレーによってチーフスはTDを断念してFGで試合をオーバータイムに持ち越す判断をせざるを得なかった。

 

 得点力の高いチーフスがこのポゼッションでTDを挙げられなかったことがベンガルズの勝利に結びついたとするならば、このフバードによるマホームズのサックは戦局に大きな影響を与えたと言っていい。

 

 NFC決勝でのキープレーは第4クオーター残り3分26秒での、ラムズQBマシュー・スタッフォードからWRクーパー・カップへのパスだ。

49ersとのカンファレンス決勝でパスを好捕するラムズのWRクーパー・カップ(10)(AP=共同)
49ersとのカンファレンス決勝でパスを好捕するラムズのWRクーパー・カップ(10)(AP=共同)

 この時点で試合は17―17の同点。残り時間6分26秒で自陣39ヤードからの攻撃を始めたラムズは敵陣37ヤードで第3ダウン3ヤードの場面を迎えた。

 すでにタイムアウトは使い切っていたラムズにとって追加得点が欲しい場面ではあったが、この地点でFGを狙うにはリスクが大きすぎるので少しでも前にボールを進めたい状況だった。

 

 ここでスタッフォードからカップへの12ヤードパスが成功する。このプレーによって戦局が大きく変わった。

 FG圏内に入ったラムズは時間を使いながら3点を追加すれば勝てるという状況を作ることができたからだ。その一方で逆転された後の時間を確保したい49ersは2回のタイムアウト消費を余儀なくされる。

 

 結果的にFGで3点のリードを奪ったラムズが続く49ersのオフェンスでQBジミー・ガロポロのパスをインターセプトして勝利を確実なものとするのだが、ここでの第3ダウンコンバージョンの成功がなければ試合はどうなっていたか分からない。この試合のキープレーであったことは間違いない。

 

 NFLでは1試合平均で、両チーム合わせて120以上のプレーが行われる。

 勝敗はそれらすべての積み重ねであって、どれか一つをとって試合を決するプレーであるとは言えない。

 しかし、カンファレンス決勝からキープレーを一つずつ選ぶとするならば、筆者はこの2プレーを挙げたい。

 こうしたプレーを自分で選び、自分なりに解説するのもフットボールの楽しみ方だと思う。