NFLの名QBトム・ブレイディが引退表明 数々の栄光手にし記録残す

2022年02月02日
共同通信共同通信
生沢 浩 いけざわ・ひろし
ラムズとのディビジョナルプレーオフでパスを投げるバッカニアーズのQBトム・ブレイディ(AP=共同)
ラムズとのディビジョナルプレーオフでパスを投げるバッカニアーズのQBトム・ブレイディ(AP=共同)

 

 NFLのペイトリオッツとバッカニアーズで計22年間プレーし、どのチームよりも多く、個人としても史上最多の7度のスーパーボウル優勝を経験したQBトム・ブレイディが2月1日、正式に現役引退を発表した。

 44歳のブレイディ引退の報道はすでに流れていたが、ブレイディ本人が自身の会員制交流サイト(SNS)で初めて引退の意思を明らかにした。

 

 ブレイディは「この1週間はいろんなことを振り返り、答えを出すのが難しい問いを自分に投げかけてきた。自分たちが達成してきたことを誇りに思う。チームメート、コーチ、ライバルたち、そしてファンの皆さんが自分のすべてだった。でも、フィールド上での戦いは次の世代に受け渡す時が来た」と投稿した。

 

 ブレイディはカリフォルニア州サンマテオの出身。名門ミシガン大学でプレーした後、2000年のドラフトでペイトリオッツから6巡指名を受けた。

 同じ年に就任したペイトリオッツのビル・ベリチック・ヘッドコーチ(HC)の下でスター選手に育った。

ペイトリオッツの「黄金時代」を築いたQBトム・ブレイディ(左)とビル・ベリチックHC(AP=共同)
ペイトリオッツの「黄金時代」を築いたQBトム・ブレイディ(左)とビル・ベリチックHC(AP=共同)

 

 ブレイディに転機が訪れたのは2年目のレギュラーシーズン第3週だ。先発QBドルー・ブレッドソーがディフェンダーのヒットを受けて胸に重傷を負う。

 代わって起用されたブレイディは翌週からチームを上昇気流に乗せ、ブレッドソーの完治後もスターターの座を維持し、チームをスーパーボウル初優勝に導いた。

 

 この年は9月11日に同時多発テロが起き、NFLでも予定されていた第2週を最終週に振り分け、スーパーボウル開催が1週遅れになるなどの影響があった。

 このときのスーパーボウルに勝ったのが「愛国者」のニックネームに持つペイトリオッツであり、その中心にいたのがブレイディだった。ここにもブレイディが不世出のスターQBとなる要素があった。

 

 3年目以降のブレイディは、課題とされたフットワークに磨きをかけることでパサーとしても成長した。

 同じAFCのコルツで活躍したQBペイトン・マニングとも幾多の名勝負を繰り広げた。

 

 ブレイディがNFLを代表する選手としての地位を築くと同時に、ペイトリオッツは「黄金時代」を迎える。

 ブレイディが在籍した20年間でAFC東地区優勝は17回、スーパーボウル出場は9回を数えた(優勝6度)。

 

 ブレイディがペイトリオッツを離れる決断をしたのが2020年の春だ。

 ブレイディはフリーエージェント(FA)となってバッカニアーズに移籍。新天地でも1年目でチームをスーパーボウルに導き、連覇を狙うチーフスを破って優勝したのは記憶に新しい。

 

 最後となった2021年シーズンもパス試投数(719回)、パス成功数(485)、パス獲得距離(5316ヤード)での自己最多を更新する活躍を見せたが、ディビジョナルプレーオフでラムズに敗れた。

ディビジョナルプレーオフでラムズに敗れフィールドを去るバッカニアーズのQBトム・ブレイディ(AP=共同)
ディビジョナルプレーオフでラムズに敗れフィールドを去るバッカニアーズのQBトム・ブレイディ(AP=共同)

 

 ブレイディはレギュラーシーズン318試合の出場(キッカー以外では歴代最多)でパスの通算獲得距離は8万4520ヤード(NFL記録)、TDパス成功数は624(NFL記録)に対して被インターセプトは203回。

 通算パス成功率は64・2%で、レーティングは97・6だった。オールプロ選出は3回、プロボウルには14回選出され、リーグMVPを3度、スーパーボウルMVPは5度受賞(NFL最多)している。

 

 そのほか、レギュラーシーズン通算243勝、ポストシーズン35勝、勝率7割6分9厘はいずれもNFL記録である。