NFLセインツのペイトンHCが退任 地元ニューオーリンズの復興にも貢献

2022年01月26日
共同通信共同通信
生沢 浩 いけざわ・ひろし
記者会見で辞任を表明するセインツのショーン・ペイトンHC(AP=共同)
記者会見で辞任を表明するセインツのショーン・ペイトンHC(AP=共同)

 

 NFLセインツのショーン・ペイトン・ヘッドコーチ(HC)が、退任する意思を固めたことが明らかになった。

 現在58歳のペイトン氏は、15年の在任期間でチーム史上最多となる152勝(89敗)を挙げ、セインツを7度の地区優勝、9度のプレーオフ出場に導き、2009年シーズンにはフランチャイズ唯一となるスーパーボウル出場と優勝を達成した。

 

 パスを中心としたオフェンスの構築が得意で、スナップ直前に選手の位置を入れ替える「フリップ」やモーションを多用した。

 またWR、TE、RBの人材を相互に入れ替えることで、見た目は同じ人数構成、フォーメーションでありながらもスピードやサイズなどでディフェンスとのミスマッチを生むなど独創的なアイデアに富んだHCだ。

 

 この戦術がペイトン氏の就任と同年の2006年にチャージャーズから移籍してきたQBドルー・ブリーズのパス能力と見事に合致した。

 ブリーズの肩の強さと正確なコントロールはペイトン氏の理想とするオフェンスを実現させ、それがセインツの代名詞ともなっていった。

 

 ペイトン氏が就任したころのニューオーリンズは、前年のハリケーン「カトリーナ」による被害の影響がまだ色濃く残っていた。

 前年のセインツはスーパードームがハリケーンによる損傷を受けたばかりでなく、避難所として使用されたために試合のホーム開催ができず、同じルイジアナ州のバトンルージュやテキサス州サンアントニオなどを転々とした。

 

 未曽有の災害がチームに及ぼした影響はあまりに大きく、再建を任される新HCは火中の栗を拾うようなものだと評された。

 にもかかわらずペイトン氏はカウボーイズでのアシスタントHC兼QBコーチという職を捨てて指揮官に就任したのだった。

 

 逆境をはねのけて勝ち星を重ねるセインツは、地元ニューオーリンズ市民の心のよりどころとなった。そして、ペイトン氏は就任1年目でチーム史上3度目となる地区優勝を果たし、復興への機運を高めていった。

 その3年後のスーパーボウル制覇は、地域の復活を印象付ける効果を生んだ。

 

 2012年には、当時の守備コーディネーターが、相手チームの選手を負傷させるようなプレーをした選手に報奨金を支払っていた疑惑が持ち上がり、それを黙認したとしてペイトン氏も1年間の出場停止の処分を受けたこともあったが、ペイトン氏のニューオーリンズに対する貢献への評価は依然として高い。

2009年シーズンのスーパーボウルでセインツを優勝に導いたショーン・ペイトンHC(AP=共同)
2009年シーズンのスーパーボウルでセインツを優勝に導いたショーン・ペイトンHC(AP=共同)

 

 今後はテレビ解説者の道に興味を示しているようだ。特定の放送局との具体的な交渉については否定したが、その道では先輩にあたるブリーズに相談を持ち掛けていることも明らかにした。

 その一方で「引退」という言葉は使わないと述べ、将来的に再び指導者として現場に戻ってくる可能性も示唆した。

 

 ペイトン氏の退任により、NFLのHCは計9チームで交代することになった。

 今季は新HC誕生のペースが例年よりスローで、レギュラーシーズン終了から2週間が経過したにもかかわらず、日本時間1月26日現在でまだ一チームも決まっていない。