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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

チーフスがビルズとの激戦制しカンファレンス決勝進出 NFLプレーオフ

2022.1.25 12:55 生沢 浩 いけざわ・ひろし
チーフスの頼れるTEトラビス・ケルシー(87)(AP=共同)
チーフスの頼れるTEトラビス・ケルシー(87)(AP=共同)

 

 1月22、23日(日本時間23、24日)に行われた、NFLのプレーオフ準決勝にあたる「ディビジョナルプレーオフ」は、4試合すべてが「サヨナラ勝ち」で決着するスリリングな展開となった。

 このうち、試合時間の終了と同時のFG成功で終わった試合が三つあり、残りの一つは第4クオーターの残り2分を切ってから三つのTDと1FGが飛び交い、オーバータイムで勝敗が決した。

第1シードのタイタンズを破りAFC決勝に進出したベンガルズのQBジョー・バーロウ(9)(AP=共同)
第1シードのタイタンズを破りAFC決勝に進出したベンガルズのQBジョー・バーロウ(9)(AP=共同)

 

 2月13日(日本時間14日)のスーパーボウル出場をかけた1月30日(同31日)のカンファレンス決勝に進んだのは、AFCがベンガルズ(北地区優勝)とチーフス(西地区優勝)、NFCは49ers(西地区3位)とラムズ(西地区優勝)だ。

 両カンファレンスとも第1シードのタイタンズ(AFC)とパッカーズ(NFC)が敗れ、前年のスーパーボウル王者バッカニアーズ(NFC)も敗退した。ディビジョナルプレーオフの結果は次の通り。

・ベンガルズ19―16タイタンズ

・49ers13―10パッカーズ

・ラムズ30―27バッカニアーズ

・チーフス42―36ビルズ(OT)

バッカニアーズ戦で決勝の30ヤードFGを決めるラムズのKマット・ゲイ(8)(AP=共同)
バッカニアーズ戦で決勝の30ヤードFGを決めるラムズのKマット・ゲイ(8)(AP=共同)

 いずれの試合も見ごたえのある好ゲームだったが、なかでもチーフスとビルズの対戦は早くも「プレーオフ史上最高の試合」ではないかとの声が上がるほどの熱戦だった。

 先制したのはビルズだったが、すぐさまチーフスが2連続TDで逆転。前半終了間際にビルズもTDを挙げて14―14の同点でハーフタイムを迎えた。

 後半に入ると最大で9点差をつけるなどチーフスがリードする時間帯が続いたが、第4クオーター終盤から目まぐるしく試合が動いた。

多彩な攻撃でビルズ守備陣を翻弄するチーフスのQBパトリック・マホームズ(15)(AP=共同)
多彩な攻撃でビルズ守備陣を翻弄するチーフスのQBパトリック・マホームズ(15)(AP=共同)

 

 21―26とチーフスにリードされたビルズは残り2分に敵陣27ヤード地点まで進みながら第4ダウンで13ヤードと追い込まれる。

 しかし、QBジョシュ・アレンがエンドゾーンでワイドオープンとなったWRガブリエル・デービスにTDパスを通し、さらに2点コンバージョンも成功させて29―26と逆転した。

 

 3年連続のスーパーボウル出場を目指すチーフスは、直後のオフェンスでQBパトリック・マホームズがWRタイリーク・ヒルに64ヤードのTDパスをヒットして逆転。こちらはトライフォーポイント(TFP)のキックを成功させて33―29の4点差とした。ビルズがFGでは追いつけない点差だ。

チーフスに敗れたビルズのエースQBジョシュ・アレン(AP=共同)
チーフスに敗れたビルズのエースQBジョシュ・アレン(AP=共同)

 

 しかし、ここでもビルズが粘り強さを発揮する。アレンはデービス、WRエマニュエル・サンダースらにパスを通してドライブを進め、ついに残り試合時間13秒でこの日4本目となるデービスへのTDパスで再逆転。TFPのキックも成功して3点差をつけた。

 

 多くのビルズファンがこの時点で勝利を確信しただろう。ところが相手はチーフスだ。

 たった10秒の間のマホームズからヒル、TEトラビス・ケルシーへの連続パス成功で敵陣31ヤードまで攻め込んだ後、Kハリソン・バトカーの49ヤードFGで追いつき、試合はオーバータイム(OT)へもつれ込んだ。

 

 OTで最初の攻撃権を得たチーフスは、一度もパス失敗がなくケルシーのTDパスキャッチで決勝ドライブを完結させ、ビルズにオフェンス機会を与えないまま勝利した。

 チーフスは4年連続のAFC決勝進出、しかもすべてホーム開催というNFL史上初の快挙を達成した。

バッカニアーズ戦で決勝の30ヤードFGを決めるラムズのKマット・ゲイ(8)(AP=共同)
バッカニアーズ戦で決勝の30ヤードFGを決めるラムズのKマット・ゲイ(8)(AP=共同)

 

 ビルズは昨年のAFC決勝に続き2年連続でチーフスに敗れてシーズンを終えた。

 しかし、今季4年目のアレンは過去3シーズンでいずれもチームをプレーオフ出場に導くなど、その成長ぶりは著しい。

 第4クオーター終盤には、これまで大舞台をいくつも経験してきたマホームズに少しも引けを取らない勝負強さを発揮した。

 1980年代後半から90年代前半にかけてチームを牽引したジム・ケリー以来の「フランチャイズQB」としての地位を完全に築いたと言っていい。

 

 この試合には2000年代のペイトリオッツとコルツ、QBトム・ブレイディとペイトン・マニングの激闘に匹敵するドラマがあった。

ラムズに敗れ2年連続のスーパーボウル進出を逃したバッカニアーズのQBトム・ブレイディ(AP=共同)
ラムズに敗れ2年連続のスーパーボウル進出を逃したバッカニアーズのQBトム・ブレイディ(AP=共同)

 ビルズとチーフス、そしてアレンとマホームズは今後も熱い戦いを展開するに違いない。そのライバル関係が織りなす新しいドラマが今から楽しみだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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