チーフスがビルズとの激戦制しカンファレンス決勝進出 NFLプレーオフ

1月22、23日(日本時間23、24日)に行われた、NFLのプレーオフ準決勝にあたる「ディビジョナルプレーオフ」は、4試合すべてが「サヨナラ勝ち」で決着するスリリングな展開となった。
このうち、試合時間の終了と同時のFG成功で終わった試合が三つあり、残りの一つは第4クオーターの残り2分を切ってから三つのTDと1FGが飛び交い、オーバータイムで勝敗が決した。

2月13日(日本時間14日)のスーパーボウル出場をかけた1月30日(同31日)のカンファレンス決勝に進んだのは、AFCがベンガルズ(北地区優勝)とチーフス(西地区優勝)、NFCは49ers(西地区3位)とラムズ(西地区優勝)だ。
両カンファレンスとも第1シードのタイタンズ(AFC)とパッカーズ(NFC)が敗れ、前年のスーパーボウル王者バッカニアーズ(NFC)も敗退した。ディビジョナルプレーオフの結果は次の通り。
・ベンガルズ19―16タイタンズ
・49ers13―10パッカーズ
・ラムズ30―27バッカニアーズ
・チーフス42―36ビルズ(OT)

いずれの試合も見ごたえのある好ゲームだったが、なかでもチーフスとビルズの対戦は早くも「プレーオフ史上最高の試合」ではないかとの声が上がるほどの熱戦だった。
先制したのはビルズだったが、すぐさまチーフスが2連続TDで逆転。前半終了間際にビルズもTDを挙げて14―14の同点でハーフタイムを迎えた。
後半に入ると最大で9点差をつけるなどチーフスがリードする時間帯が続いたが、第4クオーター終盤から目まぐるしく試合が動いた。

21―26とチーフスにリードされたビルズは残り2分に敵陣27ヤード地点まで進みながら第4ダウンで13ヤードと追い込まれる。
しかし、QBジョシュ・アレンがエンドゾーンでワイドオープンとなったWRガブリエル・デービスにTDパスを通し、さらに2点コンバージョンも成功させて29―26と逆転した。
3年連続のスーパーボウル出場を目指すチーフスは、直後のオフェンスでQBパトリック・マホームズがWRタイリーク・ヒルに64ヤードのTDパスをヒットして逆転。こちらはトライフォーポイント(TFP)のキックを成功させて33―29の4点差とした。ビルズがFGでは追いつけない点差だ。

しかし、ここでもビルズが粘り強さを発揮する。アレンはデービス、WRエマニュエル・サンダースらにパスを通してドライブを進め、ついに残り試合時間13秒でこの日4本目となるデービスへのTDパスで再逆転。TFPのキックも成功して3点差をつけた。
多くのビルズファンがこの時点で勝利を確信しただろう。ところが相手はチーフスだ。
たった10秒の間のマホームズからヒル、TEトラビス・ケルシーへの連続パス成功で敵陣31ヤードまで攻め込んだ後、Kハリソン・バトカーの49ヤードFGで追いつき、試合はオーバータイム(OT)へもつれ込んだ。
OTで最初の攻撃権を得たチーフスは、一度もパス失敗がなくケルシーのTDパスキャッチで決勝ドライブを完結させ、ビルズにオフェンス機会を与えないまま勝利した。
チーフスは4年連続のAFC決勝進出、しかもすべてホーム開催というNFL史上初の快挙を達成した。

ビルズは昨年のAFC決勝に続き2年連続でチーフスに敗れてシーズンを終えた。
しかし、今季4年目のアレンは過去3シーズンでいずれもチームをプレーオフ出場に導くなど、その成長ぶりは著しい。
第4クオーター終盤には、これまで大舞台をいくつも経験してきたマホームズに少しも引けを取らない勝負強さを発揮した。
1980年代後半から90年代前半にかけてチームを牽引したジム・ケリー以来の「フランチャイズQB」としての地位を完全に築いたと言っていい。
この試合には2000年代のペイトリオッツとコルツ、QBトム・ブレイディとペイトン・マニングの激闘に匹敵するドラマがあった。

ビルズとチーフス、そしてアレンとマホームズは今後も熱い戦いを展開するに違いない。そのライバル関係が織りなす新しいドラマが今から楽しみだ。