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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

プレーオフ進出チーム決定、一方でHCの解雇相次ぐ 結果が全てのNFL

2022.1.12 11:43 生沢 浩 いけざわ・ひろし
ベアーズを解雇されたマット・ナギーHC(AP=共同)
ベアーズを解雇されたマット・ナギーHC(AP=共同)

 

 NFLはレギュラーシーズンの全日程を終了し、プレーオフに出場する計14チームが決まった。プレーオフに進出したチームの顔ぶれは次の通り(シード順)。

 

 ▽AFC:タイタンズ、チーフス、ビルズ、ベンガルズ、レイダーズ、ペイトリオッツ、スティーラーズ

 ▽NFC:パッカーズ、バッカニアーズ、カウボーイズ、ラムズ、カージナルス、49ers、イーグルス

 

 AFC、NFCともに第1シードのタイタンズとパッカーズだけがシードされプレーオフの1回戦がバイウイークとなり、準決勝からの出場となる。

 ペイトリオッツは2年ぶりのプレーオフ復帰、レイダーズは5年ぶり、カージナルスは6年ぶりだ。

 

 レギュラーシーズンの終了から48時間も経たないうちに、ヘッドコーチ(HC)の解雇が相次いでいる。

 ブロンコスは就任以来3季連続負け越しのビック・ファンジオを解雇、ベアーズとバイキングズもそれぞれマット・ナギー、マイク・ジマーを解任した。ジャイアンツは就任わずか2年目のジョー・ジャッジを早くも断念した。

ジャイアンツを解雇されたジョー・ジャッジHC(AP=共同)
ジャイアンツを解雇されたジョー・ジャッジHC(AP=共同)

 

 意外だったのはドルフィンズで、2年連続で勝ち越しただけでなく今季は最終9試合を8勝1敗で乗り切ったブライアン・フローレスを解雇した。

 

 これにより、シーズン中にHCが退団したレイダーズ(ジョン・グルーデン、辞任)とジャガーズ(アーバン・マイヤー、解雇)を含め少なくとも7チームで指揮官の交代劇が起こることになる。

 

 平均して例年5、6チームでHCが交代している。当然だが、その理由のほとんどがチームをプレーオフに導けなかったことに対する引責だ。ただし、近年ではそのスパンが短くなる傾向があるようだ。

 特にNFLでのHC経験の浅い人材ほどあっさりと解任される。今季で言うならマイヤー(1年)、ジャッジ(2年)、フローレス(3年)、ファンジオ(3年)がその例に該当する。

 

 3シーズンならまだしも1、2年でチームをプレーオフに進出できるくらいに再建するのは難しい。「近年のNFLのオーナーは気が短い」とよく言われるが、確かに1990年代より前に比べると長期でHCを務めるケースが少なくなった。

 

 逆に「長期政権」を実現している現役HCには就任後5年以内でスーパーボウル優勝を果たしている人材が多い。

 ビル・ベリチック(ペイトリオッツ、今季が22年目)、マイク・トムリン(スティーラーズ、15年目)、ジョン・ハーボウ(レーベンズ、14年目)、ピート・キャロル(シーホークス、12年目)らがそうだ。

12年目のシーズンを終えたシーホークスのピート・キャロルHC(AP=共同)
12年目のシーズンを終えたシーホークスのピート・キャロルHC(AP=共同)

 

 また、近年では49ersのカイル・シャナハンやラムズのショーン・マクベイ、バッカニアーズのブルース・エリアンズらは就任3年以内チームをスーパーボウル優勝または出場に導いている。

 

 他チームが短期間でこれだけの実績を積んでいるのを見れば、オーナーの気が短くなるのも無理はないのかもしれない。

 ただ、ごく短い期間で結果を求められるHCはたまったものではない。選手の能力を把握し、新しいシステムを導入し、それが浸透するまでにはどうしても時間がかかるからだ。

 

 カレッジから転身するHCの成功例が少ないのも、こうしたところに原因があるのだろう。

 近年ではカレッジのプレーを導入するチームが増えてきたものの、依然としてカレッジとNFLではプレースタイルやレベルに大きな差があるのだ。

 

 フットボールに携わる指導者にとって究極の夢はNFLのHCとなることだろう。

 実際にNFLのアシスタントコーチのほとんどは、そのチャンスが来るのを今か今かと待っている。

 しかし、好結果をすぐに欲しがるオーナーやファンの意向が強く反映するため、そのハードルは年々高くなる一方だ。

ドルフィンズを解雇されたブライアン・フローレスHC(AP=共同)
ドルフィンズを解雇されたブライアン・フローレスHC(AP=共同)

 

 今年も新たな人材がNFLでHCに登用される。どんな人材が現れるのかが楽しみな一方で、優秀だとの評価を得たアシスタントコーチがHCという高い壁を越えられない姿を見るたびに、プロフットボールの厳しさを痛感するのである。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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