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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

地元で最後の勇姿? スティーラーズのQBロスリスバーガー

2022.1.5 13:23 生沢 浩 いけざわ・ひろし
地元ピッツバーグのファンに手を振ってフィールドを去るスティーラーズのQBロスリスバーガー(AP=共同)
地元ピッツバーグのファンに手を振ってフィールドを去るスティーラーズのQBロスリスバーガー(AP=共同)

 

 NFLは2021年シーズンの第17週を終え、レギュラーシーズンも残り1週となった。

 AFCではベンガルズ(北地区、10勝6敗)、タイタンズ(南地区、11勝5敗)、チーフス(西地区、11勝5敗)がそれぞれ地区優勝を決めており、そのほか東地区のビルズとペイトリオッツがともに10勝6敗でプレーオフ出場権を獲得した。

 プレーオフの残り2枠を争うのはコルツ(南地区、9勝7敗)、チャージャーズ(西地区、9勝7敗)、レイダーズ(西地区、9勝7敗)、スティーラーズ(北地区、8勝7敗1分け)、レーベンズ(北地区、8勝8敗)だ。

 

 NFCは西地区以外で優勝チームが決まっており、カウボーイズ(東地区、11勝5敗)、パッカーズ(北地区、13勝3敗)、バッカニアーズ(南地区、12勝4敗)が上位4シード以内での出場で、少なくともプレーオフ初戦のホーム開催権がある。

 そのほか、西地区のラムズ(12勝4敗)、カージナルス(11勝5敗)、イーグルス(東地区、9勝7敗)がポストシーズンへの切符を手にしており、残り1枠を49ers(西地区、9勝7敗)とセインツ(南地区、8勝8敗)が狙う。

 

 そんな中、2004年からスティーラーズのフランチャイズQBとして活躍してきたベン・ロリスリスバーガーが、彼自身にとって最後となるホームゲームに臨んだ。

 NFL18年目のロスリスバーガーは公式には明言していないが、今季限りでの引退が確実視されている。

 レギュラーシーズン最終戦はレーベンズの本拠地ボルティモアで行うため、ピッツバーグのハインツフィールドで見られる彼の雄姿はこれが最後になる可能性が高い。

 

 通算123試合目のホームでの先発出場となったロスリスバーガーを見ようと、6万3000人を超えるファンがマンデーナイトゲームに集まった。

 スティーラーズにとってはプレーオフ出場への望みを掛けた試合であったが、地元ファンにとってはロスリスバーガーに感謝とお別れを告げる最後のチャンスとあって数多くのメッセージボードがテレビ中継で映し出された。

今季最後の地元での試合を終えファンと握手するスティーラーズのQBロスリスバーガー(AP=共同)
今季最後の地元での試合を終えファンと握手するスティーラーズのQBロスリスバーガー(AP=共同)

 

 相手は因縁のブラウンズ。ロスリスバーガーはブラウンズが本拠地を置くオハイオ州の出身で、2004年のドラフトではブラウンズは1巡6番目の指名権で彼を獲得することも可能だった。

 しかし、ブラウンズはTEケレン・ウィンズローを指名し、その5番後にスティーラーズがロスリスバーガーを指名した。

 この瞬間、ピッツバーグにとってはスーパーボウル4度優勝のテリー・ブラッドショー以来となるフランチャイズQBが誕生したのだ。

 

 主役であるはずのロスリスバーガーの記録は43回中24回のパス成功、123ヤード、1TD、1インターセプトという平凡なものだったが、彼の後を継いで次代のスティーラーズを支えていくべき選手たちが26―14の勝利に大きく貢献した。

 スターOLBのT・J・ワットは4QBサックを記録し、マイケル・ストレイハンの持つNFL記録(22・5)にあと一つと迫った。

 新人RBナジー・ハリスは今季最多の188ヤードラッシュで今季1172ヤードとし、フランコ・ハリスの持つルーキーによる年間獲得距離のチーム記録(1055ヤード)を更新した(ハリスは年間14試合制での記録)。

 

 試合は第4クオーター終盤までにスティーラーズが2ポゼッションのリードを奪い、ほぼ勝敗が決した。

 サイドラインには時折遠くを見るような目をするロスリスバーガーの姿があった。まるでハインツフィールドの光景を脳裏に焼き付けるかのように。

TDパスを決めたQBロスリスバーガーを抱きしめるスティーラーズのトムリンHC(AP=共同)
TDパスを決めたQBロスリスバーガーを抱きしめるスティーラーズのトムリンHC(AP=共同)

 

 残り試合時間51秒でスティーラーズがだめ押しのTDを決めた際には、天を指さし亡き母に感謝するいつもの仕草を見せた。

 味方のインターセプトによって急遽巡ってきた締めくくりのオフェンスシリーズでは、時間をつぶすためのニーダウン。まだプレーオフの望みは残っているもののホームゲーム開催の可能性は限りなく低く、これがおそらく地元ハインツフィールドでのロスリスバーガーの最後のプレーとなる。

 

 試合後はブラウンズの選手やチームメートとしばし別れを惜しんだ後、アシュリー夫人と3人の子どもたちに囲まれて静かにフィールドを去っていった。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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