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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.381=「あうんの呼吸」

2021.12.9 12:19 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
立命大戦の第1クオーター、先制のTDを決めた関学大RB前田選手(右)を祝福するRB齋藤選手=12月5日、大阪・ヨドコウ桜スタジアム
立命大戦の第1クオーター、先制のTDを決めた関学大RB前田選手(右)を祝福するRB齋藤選手=12月5日、大阪・ヨドコウ桜スタジアム

 

 12月5日、大阪・ヨドコウ桜スタジアムで行われた全日本大学選手権の西日本代表決定トーナメント決勝で立命大を破り、6年連続55度目の同選手権決勝(甲子園ボウル)出場を決めた関学大の勝因は、それまでライバルとの試合では思うような効果が得られなかったラン攻撃の充実だった。

 

 7点差に追い上げられた第3クオーター。QBの位置にRBが入る「ワイルドキャット隊形」から、4年生RB前田公昭選手と齋藤陸選手が「デュアル」で相手ディフェンスにアタックする。

 前を走る齋藤選手が絶妙のブロックで走路を切り開くと、前田選手が迷いのない走りでゲインを重ねる。

 「水もの」と言われるパス攻撃より計算できる「地上戦」で勝負できたことで、試合運びに余裕が生まれた。

 

 前田選手は立命大戦の後にこう言った。

 「最近思ったのは、僕と齋藤は走るルートに関して、あうんの呼吸というか見えている世界が同じ。1年間をかけて二人で話し合い、意識のすり合わせができていた」

 

 今年の「ファイターズ」のスローガンは「I WILL(自分がやる)」。前田選手によれば「WE(我々)ではなくI(私)であるところに意味がある」そうで、1プレー1プレーに、一人一人が全力を尽くすことが大切なのだという。

 

 関学大の選手に共通しているのは、自分の言葉で客観的に自らが置かれている状況を説明する訓練ができていることだ。

 後日、関西学生リーグの最優秀選手に選ばれた前田選手は「去年までは先輩に連れてきてもらった甲子園ボウルは自分の原点。後輩たちも、あの素晴らしいフィールドで思う存分プレーしてほしい」と言った。

 

 甲子園ボウルで対戦する法大については「アメリカの大学のような最先端のフットボールをやっている」と印象を述べ、「ただ、しんどいトーナメントを勝ち抜いてきたのは自分たちなので、負けるわけにはいかない」と闘志を燃やす。

 4連覇を目指し、副将としてチームを牽引する覚悟はできている。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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