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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

プレーオフ進出は絶望的 3勝8敗と不振のシーホークス

2021.12.1 11:40 生沢 浩 いけざわ・ひろし
ワシントンフットボールクラブのDEトニー(58)にサックされるシーホークのQBウィルソン(AP=共同)
ワシントンフットボールクラブのDEトニー(58)にサックされるシーホークのQBウィルソン(AP=共同)

 

 過去10年で8回もプレーオフに出場しているNFLのシーホークスが不振に陥っている。

 第12週のマンデーナイトゲームでワシントンフットボールチームに敗れて今季2度目の3連敗を喫した。現在3勝8敗でNFC西地区の最下位に沈んでいる。

 

 ピート・キャロル氏がヘッドコーチ(HC)に就任したのは2010年。最初の2シーズンは7勝9敗(ただし1年目はディビジョン優勝でプレーオフに進出、ディビジョナルプレーオフまで進んだ)だったが、それ以降は負け越したシーズンがない。

 また、キャロルHCの下で地区最下位でシーズンを終了したこともない。こうしたことを考えると今年のシーホークスの低調ぶりが際立つ。

 

 スタッツを見てもシーホークスらしくない数字が並ぶ。ディフェンスが看板であるはずのチームが、現在はトータルディフェンスで最下位だ。相手チームに1試合平均で399ヤードもの距離を許している。

 

 オフェンスも深刻で、トータルオフェンスは31位でサードダウンコンバージョン率も最下位だ。つまり、ファーストダウンが更新できずにドライブができていないことが分かる。

 何より、対戦相手が攻撃の時にファンが声を出して邪魔をする「クラウドノイズ」で有名な地元ルーメンフィールドで1勝4敗なのが一番「らしくない」数字なのだ。

 

 原因の一つは故障者の続出だ。QBラッセル・ウィルソンをはじめ、DBジャマール・アダムズ、TEジェラルド・ニール、OGデイミエン・ルイス、CBトレイ・ブラウン、RBクリス・カーソンらが故障者リストに入るか数試合の欠場を余儀なくされた。

 そして、例年ならチームを牽引するはずのウィルソンにもいつもの切れがない。

 

 不思議なことにウィルソン自身の個人記録は悪くない。ここまで12TDパスを成功させており、被インターセプトは三つしかない。レイティングは102・5と高水準だ。

 しかし、得点に結びつくようなビッグプレーが少なく、こぢんまりとしたパフォーマンスにとどまっている印象だ。

 ウィルソンといえば、時に信じられない俊敏さと走力でパスラッシュをかわしてロングパスを投げるなど、目を見張るようなプレーを見せて多くのファンを魅了するQBだ。その姿が今年はほとんど見られない。

 

 第5週のラムズ戦で利き手の親指を脱臼して戦列を離れ、第10週のパッカーズ戦で復帰した。

 ところがそこからチームは3連敗。もちろんウィルソンだけの責任ではないのだが「ウィルソンがいれば大丈夫」といった神話にも似た信頼感は薄れている。

 

 カージナルス(9勝2敗)が独走態勢を固めつつある中で、シーホークスの逆転地区優勝は絶望的だ。ラムズ(7勝4敗)と49ers(6勝5敗)にも差をつけられており、プレーオフ出場もかなり難しい状況だ。

オフィシャルに相手の反則をアピールするシーホークスのキャロルHC(AP=共同)
オフィシャルに相手の反則をアピールするシーホークスのキャロルHC(AP=共同)

 

 このままだとキャロルHCの退陣論、ウィルソン退団といったネガティブな情報が飛び交う事態に発展しかねない。

 残念ながらそれを否定するだけの材料には乏しく、シーホークスはこのオフに抜本的なチーム改革を迫られそうだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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