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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

エースQBの戦線離脱や自転車盗難 NFL前半戦の話題を紹介 

2017.11.10 11:05 生沢 浩 いけざわ・ひろし
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鎖骨骨折で今季絶望となったパッカーズのエースQBアーロン・ロジャース(AP=共同)
鎖骨骨折で今季絶望となったパッカーズのエースQBアーロン・ロジャース(AP=共同)

 NFLは第9週を終了。レギュラーシーズンは各チーム1週間のバイウイーク(休養)を含んで17週だから、折り返し地点を迎えたことになる。

 そこで今週は、いつもと趣向を変えて筆者がテレビやネット配信の解説のために集めた情報から前半の話題をお届けします。

 レイダーズのKセバスチャン・ジャニコウスキーは、NFLでも屈指のキック力を持つベテラン選手だ。

 現在は故障者リスト入りで出場できないが、シーズン終盤には復帰する可能性もある。実はこのジャニコウスキーは、NFLのKでは非常に珍しいドラフト1巡指名選手なのである。

 NFLでは「KとPはストリート(どこの球団にも所属していないフリーエージェントの俗称)で見つけろ」というのが常識のようなもので、貴重なドラフト上位指名権を行使してまで獲得するべきではないという考えが根強い。にもかかわらず、ジャニコウスキーは1巡(2000年、全体の17番目)指名を受けたのだ。

 この決断をしたのが当時のオーナーであった故アル・デービス氏だ。デービス氏は、上位指名権をオフェンスのQB、RB、WRといったスキルポジションに行使することで知られた人だ。

 チームのニーズがディフェンスにあろうがOLにあろうが、おかまいなくその方針を貫いた。それだけにKの1巡指名は驚きだった。

 実は当時のHCジョン・グルーデン氏(現ESPN解説者)は反対したそうだ。WRシルベスター・モリス(チーフス)かRBショーン・アレキサンダー(シーホークス)を獲得するように進言した。しかし、独裁者的な要素もあったデービス氏はこれを却下した。

 その後ジャニコウスキーは、NFL歴代10位となる通算1799得点をたたき出し、50ヤードを超えるFG成功はリーグ最多の55回を数える名Kに育った。

 グルーデン氏は「こればかりは、自分の判断が間違っていた」と認めざるを得なかった。

 2週間前のこのコラムでTDセレブレーションを紹介した時に名前が出てきた、スティーラーズのWRジュジュ・スミスシュースターは20歳と11カ月でNFL最年少選手だ。

 スピードと捕球能力を生かして、これまでに記録した通算4TDパスキャッチはリーグ最年少タイ記録。新たなスターの誕生である。

 そのスミスシュースターは、チームの練習施設まで自転車で通っていた。自動車の免許はまだ取得中だったためだ。ところが、その自転車が盗まれてしまった。ちょうどTDセレブレーションが紹介されたNFL第7週の頃だ。

 同情したチームメートでエースWRのアントニオ・ブラウンは、盗んだ自転車を返してくれた人には観戦チケットを無料でプレゼントすると発表した。

 それが功を奏したのかは定かではないが、無事に盗まれた自転車はスミスシュースターの元に戻ったそうだ。もっとも、盗んだ本人が名乗り出たのか、ブラウンが提供を申し出たチケットがどうなったのかも謎のままだ。

 自転車が戻ってきた直後のライオンズ戦で、スミスシュースターはTDパスキャッチを記録した。そのあとのTDセレブレーションが粋だった。

 スミスシュースターはサイドラインに戻ってカバンの中から長いチェーンをとりだし、「防犯対策」とばかりにコンディショニング用のエアバイクに巻きつけたのだ。これも時事ネタというべきか。

 ブロンコスのCBアキーブ・タリブは第2週のカウボーイズ戦で103ヤードのインターセプトリターンTDをマークした。

 通算10回目で、現役選手では最多だ。ちなみにNFL記録はロッド・ウッドソン(元スティーラーズ、49ers、レイダーズ)の12回である。

 今年のオフにビルズに移籍したWRアンクワン・ボールディンが、開幕直前に突然の引退を発表した。

 レシーバーの主力として期待していたビルズは困惑するばかりだった。理由は、8月にバージニア州で起きた人種問題を巡る衝突だった。この事件に衝撃を受けたボールディンは、アフリカ系アメリカ人である自分にできる行動があるはずと主張してフットボール界に別れを告げた。

 ところが、10月になって現役復帰の意向を明らかにしたためにビルズは困ってしまった。背任行為に等しいボールディンの振る舞いを容認することができずにトレードを画策したものの、期限の10月31日までに交渉がまとまらなかった。

 ビルズはボールディンの保有権を持ちながら起用に頭を悩ませるという、稀有な状況に置かれることになった。

 残念ながら鎖骨骨折で今季絶望となってしまったパッカーズのQBアーロン・ロジャースは、第2週のベンガルズ戦でインターセプトリターンTDを喫した。

 ロジャースが相手に許したインターセプトリターンTDは 2009年以来のことだったそうだ。日数にして7年10カ月と16日、その間にロジャースが投げたパスは4502回に及ぶ。

 同じ期間でインターセプトリターンTDを少なくとも2回は経験したQBは80人もいるとのことだ。

 ちなみに一番多いのがフィリップ・リバース(チャージャーズ)の19回で、ドルー・ブリーズ(チャージャーズ、セインツ)の18回、イーライ・マニング(ジャイアンツ)、ペイトン・マニング(コルツ、ブロンコス)、カーソン・パーマー(ベンガルズ、カージナルズ)、ジェイ・カトラー(ベアーズ、ドルフィンズ)の15回が続く(記録は第3週終了時点)。

 カンファレンスが違うと、対戦するのは4年に1度しかない。そのためか、第5週にバッカニアーズと対戦したペイトリオッツのQBトム・ブレイディは、キャリア18年目にして敵地レイモンド・ジェームズスタジアムで公式戦を戦うのは今年が初めてだった。

 プレシーズンでは何度か経験しているものの、レギュラーシーズンでは出場機会がなかった。

 ペイトリオッツのビル・ベリチックHCにとってもここは特別だった。常勝の名をほしいままにするベリチックをして、レイモンド・ジェームズスタジアムではまだ勝ち星を得ていなかったのだ。

 第5週の対戦で快勝して初勝利を得たが、NFLの試合の組み合わせによる意外性が垣間見えたエピソードだった。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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