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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

中村多聞も人の子、両親は大切にせなあきません

2021.8.12 11:39 中村 多聞 なかむら・たもん
親子でスキーを楽しむ中村多聞さんと父・政雄さん=中村多聞さん提供
親子でスキーを楽しむ中村多聞さんと父・政雄さん=中村多聞さん提供

 

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、1年延期された東京オリンピックが終わりましたね。

 東京在住で、通勤時には新しくなった国立競技場の横を必ず通る身ではありますが、毎日山ほど開催されている競技の情報は、訳あって全然キャッチしていなかった中村多聞です。

 

 コロナ禍で売上が激減している僕のお店「ゴリゴリバーガー」への来客数がオリンピックでさらに減り、開催期間中の客足はひどいものでした。

 でも、オリンピックの情報に関心がなかったのは仕事への影響だけでなく、もっと大きな理由が二つありました。その一つは、フットボールです。

 

 NFLはシーズン前のキャンプが始まり、専門チャンネルでは全てのチームの活動状況を閲覧することができる時代ですので、僕としては関心事として圧倒的にそっちを見たいわけです。

 純粋にフットボールファンとしてと、フットボールコーチとしての情報収集です。

 ゲーム中継で見ることのできるプレーももちろん参考にするのですが、僕の考えでは練習こそ情報の宝庫ですからね。

 僕の専門であるRBだけでなく、あらゆるポジションの練習シーンは驚くほどに学びが多いのです。

 

 そもそも自分が選手の時はもちろん、コーチとして活動する現在もRB以外のポジションがどのように何をしているのかは詳しく見る機会がありませんので、あまりよく知らないのです。

 フットボールはポジションが違えば、体格も要求される運動能力も全く異なりますので、RBを指導中に一瞬横目で見る程度では学びは何もないのです。

 しかし、だからと言って「知らない」「分かんない」では済みません。

 

 RBに関わるポジションは多岐にわたります。ボールを渡しに来てくれるのも、パスを投げてくれるのもQB。走路を開けるためにブロックしてくれるラインマンはパスプロテクションもRBの前でやっています。

 レシーバーの走るコースの考え方を学べば、それを守っているDBのことも理解していかねばなりませんし、何もかもを一通りチェックしておかないといけないのです。

 彼らの動きやトレーニングをしている風景をしっかり観察し、プロのコーチは彼らに何を求めているのかを把握するようにしていけば、RBの働き方も幅広く奥行き深くアップデートできるというわけです。

 

 NFLのサマーキャンプ、日本風に言うと合宿ですね。プロ選手でも、30日も合宿して一日に2回も3回も練習があれば疲れもあります。

 その疲れた中で、どんなことをどのようにやっているのか、僕が満足するまで見せてはくれないのですが、それこそオリンピックを見ている人と同じように一日中ずっと見ていると結構な情報量になるんです。

 見れば見ただけプロレベルの情報を頭に蓄積していけますので、申し訳ないですが東京オリンピックよりも関心がありました。

 

 NFLを自分の教本として見るようになったのは学生の頃からですが、プレーの種類や傾向は変化しています。

 根本は変わっていないことを確認するという作業も欠かせません。強くて速くてうまくて賢い選手が全力を出して戦うのはオリンピックと同じですね。だから見ていて楽しいのです。

 

 僕はどこのチームのファンだとかそういうのは全くありませんので、ゲームの勝敗や個人成績なども情報として把握するだけで、あまり関心はありません。

 友人や元チームメートが関わっているなどの関係性があれば、少しは応援していますけどね。

 

 オリンピックを見ているどころではなかった、もう一つの理由を説明します。

中村多聞さんの父・政雄さん=中村多聞さん提供
中村多聞さんの父・政雄さん=中村多聞さん提供

 両親は大阪に住んでいるのですが、母が末期がんの宣告を受けて現在は自宅療養中です。

 ここ数年で認知症が進行した74歳の父・政雄の面倒を母が見るのが大変になってきたので、とりあえず父を東京に連れてきたのです。

 

 大手の道路舗装会社に勤務していた父は、日本中をグルグル巡る転勤族でしたが、全て単身赴任でしたので、幼少時はあまり一緒に暮らした思い出がありません。

 その父の紹介で僕も道路建設会社に勤めていた時に「うちの父親は少し変わり者だ」と気付かされたほど親子の交流はありませんでした。

 

 僕は父の会社の取引先に勤めていたのですが、周囲の人が父のことを「何でもありの中村さん」と呼んでいたんですね。

 「ゴーイングマイウェー」で他人のことなど知ったこっちゃない、というスタイルです。

 家族やその友人など、いわゆる「ファミリー」に対しては極めて優しく接するので、その部分しか知らなかった僕は「何でもありの中村さん」のエグさにビックリしすぎたのが1995年のことでした。

 

 その父も定年退職し、何もしない日々を送っていたら認知症を患ってしまいまして、あまり世間一般の生活様式を知らない同士での共同生活が7月の後半から急に始まったのです。

 僕は社会人になった時から実家を出ていますので、父の食べ物の好みや趣味もあまり知りません。

 以前は弱いけどお酒とギャンブル、モデルガン、自動車が好きでしたが、運転免許も返納していますし、健康のために母から禁酒を命じられ現在継続中です。

 年金生活ですから、ギャンブルなどは慎んでもらわないと困ります。

 

 という感じでやることが増えてしまい、オリンピックをテレビ観戦している場合ではなかったこの3週間でした。

 父親の血を引き、自由奔放に生きてきた中村多聞も人の子、両親は大切にせなあきませんね。

中村家の愛犬と散歩する政雄さん=中村多聞さん提供
中村家の愛犬と散歩する政雄さん=中村多聞さん提供

 

 お店で働いてくれているアメフト部の学生さんが長い合宿に行ってしまい、アルバイト不足な上にお客様不足なので、コラムに記すほどのアメフトネタを思い浮かべる余裕がなくてつまんない話になっちゃいましたね。ごめんなさい。

 面白いネタを思いつくように、また頑張ります!

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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