日本人初のCFL選手誕生なるか 6人がトレーニングキャンプ参加

先週、Xリーグで活躍した6人の日本人選手がカナダに向けて出発した。7月10日からカナダ各地で始まるカナディアンフットボールリーグ(CFL)のトレーニングキャンプに参加するためだ。
入国後それぞれ7日間の隔離期間を経てチームに合流する。8月5日の2021年シーズン開幕日にアクティブロースターに登録されれば、日本人初のCFL選手が誕生する。
今年CFLに挑戦するのはLB丸尾玲寿里(アサヒ飲料、ウィニペグ・ブルーボマーズ)、LB山岸明生(富士通、モントリオール・アルエッツ)、OL町野友哉(富士通、ブルーボマーズ)、K佐藤敏基(IBM、トロント・アーゴナーツ)、K山﨑丈路(オービック、BCライオンズ)、RB李卓(オービック、アルエッツ)の6選手だ。
それぞれ4月15日に行われたCFLグローバルドラフト(アメリカとカナダ国籍を除く外国人を対象にしたドラフト)で指名を受けた。
このCFL挑戦は2019年に締結されたXリーグとCFLのパートナーシップによって実現したものだ。
CFLはよりグローバルな組織となることを目的とした長期計画「CFL2・0」に基づき、オーストリアやドイツ、メキシコなどアメリカンフットボールのリーグがある国々とパートナーシップを結んでおり、日本からはXリーグが参加している。
CFLは昨年、提携国での地域別コンバイン(日本では昨年2月に東京と大阪で実施)で選ばれた選手をトロントに集めて外国人選手だけの「グローバルコンバイン」を3月に開催し、続いて4月にグローバルドラフトを行う予定だった。
しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響でグローバルコンバインとドラフトが中止され、さらにCFLの2020年シーズンそのものも開催が見送られた。
今年はオンライン開催ではあったもののコンバインとドラフトが無事に行われ、「CFL2・0」に基づくあらゆる施策が本格的に動き出した。
CFLのシーズンは今年もコロナの影響を受けて短縮されたが、当初の予定より2カ月遅れの8月5日に2年ぶりの開幕を迎え、16週間かけて各チーム14試合のレギュラーシーズンをこなす。
2週のプレーオフを経て12月12日に王座決定戦である「グレイカップ」が行われる予定だ。
通常なら各チームのアクティブロースターは46人の登録でそのうち2人がグローバル選手でなければならないのだが、今季はシーズン短縮に伴ってロースター登録は44人、グローバル枠は一人に変更された。
アクティブロースター以外に各チームは最大13人のプラクティスロースター(練習生)を保有することができ、ここにはグローバル選手は最大3人まで登録できる。
ただし、CFLの関係者によれば実際には各チームともプラクティスロースター上のグローバル選手は1、2名になる見込みだという。
日本人6選手にとっては、アクティブロースター入りの競争はより厳しくなった。
ただ、プラクティスロースターであっても登録されればシーズン中にアクティブロースターに昇格する可能性は高い。
2019年のパートナーシップはうまく機能すればそれに関わるCFL、Xリーグ、日本人選手といった三者にそれぞれ大きなメリットがある。
CFLはヨーロッパやメキシコだけでなく、日本からレベルの高いフットボール選手を発掘し、アジアでのマーケット活動を行うことができる。
Xリーグにとっては海外プロリーグと連携することで所属選手や学生プレーヤー、さらには子どもたちにフットボールでプロを目指すという夢と選択肢を与えることが可能だ。
そして、日本人選手にとってはCFLのその先にある最高峰米プロフットボールNFLへの道が開けるのだ。
カナディアンフットボールは、アメリカンフットボールとはルールやフィールド仕様が違う別のスポーツではあるが、「互換性」は高い。
だから、NFLを目指す過程でCFLでプレーするアメリカ人選手も多く、実際にNFLもCFLから積極的に人材を求めている。道は続いているのだ。
日本人選手が海外プロフットボールリーグからドラフト指名されてキャンプに招聘されるという事例は過去にない快挙だ。
この記念すべき一年が、将来に大きな花を咲かせて結実してくれることを期待したい。