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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

人気高いナンバー「1」 番号にこだわるNFL選手

2021.6.16 11:06 生沢 浩 いけざわ・ひろし
ナンバー「1」をつけて練習する、ベンガルズの新人WRジャマー・チェイス(AP=共同)
ナンバー「1」をつけて練習する、ベンガルズの新人WRジャマー・チェイス(AP=共同)

 

 NFLファルコンズでエースWRとして活躍したフリオ・ジョーンズがタイタンズに移籍したが、その際にナンバー「11」をめぐって新チームメートのA・J・ブラウンとの間のやり取りが話題となった。

 ブラウンは昨年までジョーンズと同じ11番を着用していたが、WRの先輩に敬意を表して番号の譲渡を申し出た。

 しかし、ジョーンズはそれを断り、新たに「2」を着用することになったのだ。

 

 ジョーンズがファルコンズから出たがっているという噂は早くからあったが、それを聞いたブラウンはタイタンズにジョーンズ獲得を強く勧めてきたそうだ。

 それが奏功したかは不明だが、ジョーンズの入団が決まった瞬間にブラウンは彼に「11」を譲ることを決意した。

 

 番号に愛着を持つ選手は多く、移籍後もその番号にこだわるケースがある。ところがジョーンズは他人の番号を奪うことになるのを潔しとしなかった。

 この行為に対しブラウンはSNSで「引退するまで11番をつけることにした。(ジョーンズのために)一度は手放そうかと思ったけれど。ジョーンズに敬意を払う」と投稿した。

 

 昨年、ペイトリオッツからバッカニアーズに移籍したQBトム・ブレイディはWRクリス・ゴードンから「12」を譲り受けた。

 ブレイディがバッカニアーズと契約を交わした直後に、二人は電話で話をしたそうだ。どのような会話がなされたのかは知る由もないが、番号を「14」に変更したゴードンは「ブレイディが成し遂げてきたことへの最大のリスペクトだ」と述べている。

 ブレイディとともにスーパーボウル制覇も達成できたのだから、番号変更に悔いはないだろう。

 

 ブレイディとゴードンの間では無償交換が成立したようだが、金銭や物品がやり取りされることもある。

 古くは1995年にスターCBディオン・サンダースが49ersからカウボーイズに移籍した際、「21」をCBアランディス・ブライスから譲り受けた。その交換条件はドイツ製の高級車だった。

 

 ブロンコスで活躍したWRエリック・デッカーはジェッツに移籍する際「87」をTEジェフ・カンバーランドから25000ドル(約270万円)とステーキディナーで買い取った。

 このほか、選手が主催するチャリティーイベントへの参加や基金への寄付を条件に番号を交換する例がある。

 

 さて、NFLは今シーズンから番号着用のルールを一部変更し、ポジションごとに着用できる番号の範囲を広げた。

 それに伴い、昨年までは着用できなかった番号に変更する選手が意外に多い。

 カージナルスからバイキングズに移籍したCBパトリック・ピーターソンは、慣れ親しんだ「21」からルイジアナ州立大時代に着用していた「7」に変更する。

 また、カージナルスのSブッダ・ベイカーズは「32」から「3」へ、バッカニアーズのRBレナード・フォーネットは「28」から「7」に変更する。

 

 人気が高いのは「1」だ。ビルズのWRエマニュエル・サンダース、ラムズのWRデショーン・ジャクソン、ベンガルズの新人WRジャマー・チェイスらがこの番号を選んでいる。

 ちなみに冒頭のブラウンもNFLがルール変更を発表した直後は「1」への変更を考えたそうだ。ミシシッピ大時代の番号である。

 しかし、この番号はタイタンズの前身であるヒューストン・オイラーズで活躍し、プロフットボール殿堂にも入っているQBウォーレン・ムーンが着用していたもので、タイタンズでは永久欠番の扱いになっている。

 

 ブラウンはムーンへの直談判を決意し、交渉に向けてムーンの経歴を調べたという。

 経歴を読み進めるにつれてムーンが想像していた以上のレジェンドであることを理解し、「とてもじゃないが自分はその器ではない」とあきらめたのだそうだ。

 

 ルーキーキャンプでは「18」を着用しながらすぐに「11」に変更したこともあるブラウン。背番号にまつわるいろんな選手のエピソードも面白いが、この人の番号に対する思いも聞いてみたいものだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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