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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

48歳のアダム・ビナティエリが引退へ 記録と記憶に残る名キッカー

2021.5.27 12:52 生沢 浩 いけざわ・ひろし
2002年の第36回スーパーボウルで、48ヤードの決勝FGを決めるKアダム・ビナティエリ(AP=共同)
2002年の第36回スーパーボウルで48ヤードの決勝FGを決める、ペイトリオッツ時代のアダム・ビナティエリ(AP=共同)

 

 NFLの歴代キッカーの中で、最も多い4度のスーパーボウル優勝経験を誇り、数々の劇的な決勝FGを決める「クラッチキッカー」として知られたアダム・ビナティエリが引退を発表した。現在48歳で、NFLで過ごした年数はその約半分の24年に及んだ。

 5月26日にかつてのチームメートであるパット・マカフィー(元コルツP)のトークショーに出演して明らかにしたもので、今週中にもNFLに正式な文書で通達する。

 

 ビナティエリは、1996年にペイトリオッツでNFLデビュー。浮き沈みの多いキッカーというポジションで常に第一線で活躍し、NFL最多となる生涯得点(2673)、FG成功(599)、プレーオフにおける総得点(238)など多くの記録を打ち立てた。

 一昨年のシーズンは故障もあって不調に終わり、昨年の試合出場はなかった。

 

 スーパーボウルはペイトリオッツ時代に4回出場して3勝、2006年にコルツに移籍してからは2回出場して1度の優勝を経験した。

 トム・ブレイディとペイトン・マニングという、NFLの歴史に名を残す名QBとともに手に入れたリーグ制覇だった。

 

 ビナティエリを一躍有名にしたのは、ブレイディの台頭した2001年のシーズンのプレーオフだ。

 地元ボストンにレイダーズを迎えたディビジョナルプレーオフは大雪の中の決戦となった。

 試合を決したかに思われた終盤のブレイディのファンブルロストが、インスタントリプレーの結果パス失敗の判定に覆る幸運にも助けられ、ビナティエリは終了間際に同点FGとオーバータイムでの決勝FGを決めた。

2018年のジャイアンツ戦でFGを試みるコルツのKアダム・ビナティエリ(AP=共同)
2018年のジャイアンツ戦でFGを試みるコルツのアダム・ビナティエリ(AP=共同)

 

 2週間後のラムズとの第36回スーパーボウルでは、最終プレーで48ヤードの決勝FGを成功させて、ペイトリオッツに球団史上初のNFL王座をもたらした。

 2003年シーズンのスーパーボウル(対パンサーズ)でも、41ヤードの決勝FGを決めており、それまでなかなか注目されることのなかったキッカーというポジションにスポットを当てるきっかけを作った。

 

 プロボウルとオールプロにはそれぞれ3回ずつ選出され、2000年代のオールディケイドチームやNFL100周年記念オールタイムチームにも名を連ねた。

 正式な引退から4年後に殿堂入り候補の資格を得られるが、その初年度の2025年には間違いなく殿堂入りを果たすだろう。それだけ記録にも記憶にも残る名キッカーだった。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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