×
メニュー 閉じる メニュー
スポーツ

スポーツ

週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

評判通りの高い捕球技術 イーグルスのハイズマン賞WRデボンテ・スミス

2021.5.19 14:47 生沢 浩 いけざわ・ひろし
イーグルスにドラフト1位で指名され、ルーキーミニキャンプに参加しているハイズマント賞WRデボンテ・スミス(6)(AP=共同)
イーグルスにドラフト1位で指名され、ルーキーミニキャンプに参加しているハイズマント賞WRデボンテ・スミス(6)(AP=共同)

 

 新型コロナウイルスのワクチン接種が効果的に実施されているアメリカでは感染対策の緩和が進み、NFLでも2回の接種を終えた選手やスタッフはマスクを着用せずに施設を利用することが可能になった。

 こうした環境の変化もあり、今年は2年ぶりにオフシーズンの練習プログラムを再開するチームが多い。

 

 イーグルスはベテラン選手も参加が義務となるミニキャンプは開催しないと発表したが、新人選手対象のルーキーミニキャンプは予定通り5月14~16日にかけて行った。

 そこで注目されたのは、やはりドラフト1巡(全体10番目)指名のWRデボンテ・スミス(アラバマ大)だ。

 

 昨シーズン、全米大学体育協会(NCAA)で最多となる117回のパスキャッチ、1856ヤードレシーブ、23TDパスキャッチを記録して、年間最優秀選手に贈られる「ハイズマントロフィー」を受賞したスミスは、着用が決まった「6番」のジャージーを着て登場。ニック・シリアーニ新HCが見守る中で、ルートランニングやパスキャッチのドリルで汗を流した。

 

 練習が始まるとすぐにレシーバーユニットのポジション練習に向かい、長時間熱心に視察したシリアーニHCは「自分の手に触れたボールはすべてキャッチする。評判通りだ」と目を細め、「リーチがとても長く、パスキャッチの半径が大きい」と印象を述べた。

 

 スミスが高く評価されるのはキャッチ能力だけではない。正確なルートランニングはスミス自身が誇りとするところで、キャンプでも存分にその片鱗を披露した。

 

 「ワイドオープンになったり、ルートを正しく走ったり、プレスカバレッジからフリーになったりするテクニックはレシーバーの真髄だ。そして、それこそが自分の持ち味だ」とスミスは言う。

 ただし、カレッジに比べてサイズが大きくスピードもあるNFLのセカンダリーを相手にして、ルートランで優位に立つのは簡単ではない。その意味で懸念されるのがスミス体格だ。

 

 NFLの公式サイトによれば、スミスのサイズは身長183センチ、体重77キロと細身だ。

 キャンプのビデオを見ても、華奢な印象を受ける。実はNFLのスカウトもこの点を気にしており、スミスがカレッジ最高のWRとの評価を受けながら、ドラフトで指名されたレシーバーとしては3番目と、やや順位を落としたのはこれが一因だとも言われている。

 

 オフシーズンのプログラムがほとんど中止となった昨年とは違い、今年はほぼ通常通りのトレーニングを行うことが可能だ。スミスにとっては開幕までの4カ月間でフィジカル面の改善を図る環境は整っている。

 

 今季から先発QBに昇格する予定のジャレン・ハーツとは、アラバマ大で2年間一緒にプレーし、2017年には全米王座を経験している。二人のホットラインはパス成功12回で、207ヤード、2TDという成績だ。

ルーキーミニキャンプでボールをキャッチするWRデボンテ・スミス(AP=共同)
ルーキーミニキャンプでボールをキャッチするWRデボンテ・スミス(AP=共同)

 

 ハーツはスミスが3年生になるシーズンにオクラホマ大に転校した。ハーツがパサーとして注目されるようになったのは、このトランスファーの後だ。

 また、スミスも3、4年生時に大きく成長する。二人の状況は当時から大きく変わっており、ホットラインが復活するというよりは新たに構築されると期待するのが正解だろう。

 

 「(ハーツとは)いつかまた一緒にプレーしたいと話していた。それが実現したのは嬉しい」とスミスは言う。

 その一方で「大学で一緒だったからといって、今でもそれが同じであるわけではない。お互いに選手として成長したし、いろんな経験を積んできた。ここで新たにいい関係を作り上げていいプレーができるようになりたい」とも語った。

 

 奇しくも今年のドラフトでスミスよりも先に指名を受けたWRジャマー・チェイス(ルイジアナ州立大―ベンガルズ)とジェイレン・ワドル(アラバマ大―ドルフィンズ)も、それぞれかつてのチームメートだったQB(ジョー・バーロウ、トゥア・タンゴベイロア)とコンビを組む。

 この3組がお互いに切磋琢磨してNFLを代表するホットラインに成長する日が楽しみだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

最新記事