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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

ハイズマン賞QBがTEでNFL復帰か 33歳のティム・ティーボウ

2021.5.12 13:40 生沢 浩 いけざわ・ひろし
TEとしてNFL復帰を目指すティム・ティーボウ(AP=共同)
TEとしてNFL復帰を目指すティム・ティーボウ(AP=共同)

 

 NFLの表舞台から姿を消して何年も経つというのに、いまだにこの人はホットなニュースの対象になるようだ。

 2007年のハイズマントロフィー受賞者で、2010年にブロンコスからドラフト1巡指名を受けたQBティム・ティーボウのことだ。

 

 高い運動能力の持ち主で大きな期待を受けながらも、これといった実績を残さないままにフェードアウトした印象のあるティーボウだが、先のドラフトでQBトレバー・ローレンス(クレムソン大)を1位指名したばかりのジャガーズで、TEとして復帰する計画が進んでいる。実現すれば2015年以来のNFL復帰だ。

 

 現在33歳のティーボウは、既にジャガーズでのトライアウトに参加し、アーバン・マイヤー新HCの見守る中でTEとしてのプレーを披露した。

 年齢を感じさせない機敏な動きと鍛え上げられた体に、マイヤーHCもご満悦だったと伝えられている。

 

 マイヤーHCとティーボウは、師弟関係にある。ティーボウがフロリダ大でスターQBとして活躍していたころのHCがマイヤー氏である。その縁がこの復帰話の裏にあることは間違いない。

 ジャガーズは1年契約を用意しているようだが、これが単なる話題集めに終わらないと思われるのは、チームにTEの人材が乏しいためだ。

 

 公式サイトのデスプチャートでは、ジェームズ・オショーネシーがトップになっているが、昨季は28キャッチ、262ヤードレシーブで、いずれも自己最高をマークしたものの、NFLの水準では並のクラスと言わざるを得ない。

 ドラフトでは1、2巡で計四つの指名権を持っていたにもかかわらず、TEの指名は5巡のルーク・ファーネル(オハイオ州立大)までなかった。

 ティーボウのトライアウトはドラフト前に行われたから、ジャガーズはティーボウをトレーニングキャンプで試す価値があると評価したのかもしれない。

 

 ただし、これでローレンスとティーボウの新旧カレッジスターコンビが誕生するかというとそう簡単ではない。

 ジャガーズは昨季終了時点で、サラリーキャップへの余裕が1億ドルもの余裕があり、フリーエージェント(FA)でTEを獲得する可能性は残されているからだ。

 

 現在までジャガーズはFA市場で活発な動きは見せていない。しかし、ローレンスを指名したことでオフェンスの中心が確定したので、今後はこの構想プランに沿って人材を集めていく時期に入る。

 最近のNFLでは、TEはパス攻撃で重要な役割を果たす。ジャガーズがFAに人材を求める用意をしても不思議ではない。

 

 ティーボウは2010年から2年間ブロンコスに在籍し、先発QBとして8勝6敗(プレーオフを含む)の成績を残した。

 しかし、パスが不得手なこともあり、コルツからFAで移籍したスターQBペイトン・マニングにポジションを奪われてしまう。

2013年にペイトリオッツと契約したティーボウだったが、シーズン開幕前に解雇された(AP=共同)
2013年にペイトリオッツと契約したティーボウだったが、シーズン開幕前に解雇された(AP=共同)

 2012年にジェッツに移籍するが、試合に出場する機会はほとんどなく、2013年にペイトリオッツ、2015年にイーグルスと契約した後はNFLから離れていた。

 

 その後は野球への転身を図り、メジャーリーグのメッツ傘下のチームに所属していたことが話題になった。

 ジャガーズでロースター入りしてレギュラーシーズン出場を果たせば、実に9年ぶりということになる。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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