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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

今年もQB争奪戦の様相 NFLドラフト2021

2021.4.27 12:31 生沢 浩 いけざわ・ひろし
ジャガーズのドラフト1位指名が確実視されている、クレムソン大のQBトレバー・ローレンス(AP=共同)
ジャガーズのドラフト1位指名が確実視されている、クレムソン大のQBトレバー・ローレンス(AP=共同)

 

 今年のNFLドラフトは、4月29日から3日間にわたってオハイオ州クリーブランドで開催される。

 例年通り初日は1巡目指名だけが行われ、2日目に2、3巡、最終日に残りの4~7ラウンドを消化する。

 

 今年のトップ指名権は昨季1勝15敗のジャガーズが持っており、クレムソン大のQBトレバー・ローレンスを指名することが確実視されている。

 ジャガーズは、今季から新HCにカレッジ界の名将アーバン・マイヤー氏が就任して新体制を築こうとしている。1、2巡でそれぞれ二つずつの指名権を持っていることから、積極的なドラフト戦略が予想される。

 

 ドラフトの話題の中心がQBになるのは珍しくないが、今季は特に激しいQB争奪戦が繰り広げられそうだ。

 今年のドラフト候補生では、ローレンスのほかザック・ウィルソン(ブリガムヤング大)、トレイ・ランス(ノースダコタ州立大)、ジャスティン・フィールズ(オハイオ州立大)、マック・ジョーンズ(アラバマ大)らの評価が高い。

ドラフトで上位指名が予想される、ブリガムヤング大のQBザック・ウィルソン(AP=共同)
ドラフトで上位指名が予想される、ブリガムヤング大のQBザック・ウィルソン(AP=共同)

 

 2番目指名権を持つジェッツと3番目の49ersも、間違いなくQB獲得に動くだろう。

 ジェッツは2018年の1巡指名で昨年までのスターターであるサム・ダーノルドをトレードによってパンサーズに譲渡している。明らかに1巡で新たなQBを指名するための措置だ。

 49ersはもともと指名順位が12番目だったところを、ドルフィンズとのトレード交渉で3番目までに順位を上げた経緯がある。ジミー・ガロポロに代わる司令塔がターゲットだ。

 

 仮に指名のトップ3がすべてQBとなると22年ぶりのことだ。ちなみにこの年(1999年)のドラフトでは、NFLに復活したブラウンズがティム・カウチを1位指名し、続いてイーグルスがドノバン・マクナブを、ベンガルズがアキーリ・スミスを獲得したが、先発として実績を残したのはマクナブだけだった。

 

 あわよくば1巡でQBを指名したいと考えているチームはこの三つだけではない。

 指名順位9番目のブロンコスや15番目のペイトリオッツ、17番目のレイダーズ、24番目のスティーラーズもQBは指名候補リストに入っているはずだ。

 ところが、これらのチームは今のままの指名順位では望むQBを獲得できない。そこで指名順位を上げるトレードアップの可能性が出てくる。

1月のシニアボウルに出場した、アラバマ大のQBマック・ジョーンズ(AP=共同)
1月のシニアボウルに出場した、アラバマ大のQBマック・ジョーンズ(AP=共同)

 

 交渉相手となるのは4~8番指名権を持ち、なおかつこのドラフトではQBを必要としていないファルコンズ、ベンガルズ、ドルフィンズ、ライオンズ、パンサーズだ。

 1巡指名のトレードは翌年の1巡指名権が交換条件になるなど代償も大きい。指名権のトレードを好まないスティーラーズやペイトリオッツは可能性が低いが、レイダーズは思い切った策に出るかもしれない。

 レイダーズのジョン・グルーデンHCは、かつてKセバスチャン・ジャニコウスキーを1巡指名して周囲を驚かせたことがある。

 

 レイダーズが動けば、同地区ライバルのブロンコスも黙ってはいないはずだ。対抗策としてトレードアップを仕掛けてくるかもしれない。

 とすると、ファルコンズの動きも気になる。4番目指名権を持つためレイダーズ、ブロンコス、ペイトリオッツにこちらが有利な条件で交渉を持ちかけることが可能だ。

 さらにエースWRフリオ・ジョーンズに対して複数のチームからトレードの打診があったとも伝えられる。こちらもアーサー・スミス新HCの下でチームを構築しようとしている。

 指名権を増やして、有能な若い選手を多く獲得するというシナリオを描いても不思議ではない。

クレムソン大とのシュガーボウルに出場した、オハイオ州立大のQBジャスティン・フィールズ(AP=共同)
クレムソン大とのシュガーボウルに出場した、オハイオ州立大のQBジャスティン・フィールズ(AP=共同)

 

 どのチームが誰を指名するかを予想するのはドラフトの醍醐味だが、水面下での思惑を想像し、そのためにどんな交渉が行われるかを予測するのも面白い。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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