メニュー 閉じる メニュー
スポーツ

スポーツ

週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.363=「気になる男」

2021.4.16 16:39 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
富士通守備陣の中核として活躍するLB山岸明生選手=Xリーグ提供
富士通守備陣の中核として活躍するLB山岸明生選手=Xリーグ提供

 

 「気になる男」が、また一歩夢に向かって前進した。

 

 日本時間の4月16日、カナダのプロフットボールリーグCFLがカナダと米国以外の選手を対象に開催したグローバルドラフトで、Xリーグの強豪・富士通フロンティアーズのLB山岸明生選手が、モントリオールのチームに2巡目で指名された。

 山岸選手は今後、5月に行われるトレーニングキャンプに参加し、6月に開幕する公式戦に出場する「アクティブロースター」入りを目指す。

 

 山岸選手と初めて言葉を交わしたのは、2015年の3月。関西学院の創立125周年を記念し、米アイビー・リーグの名門プリンストン大を招いた「LEGACY BOWL」の歓迎レセプションだった。

 当時関学大の3年生LBだった山岸選手は「いつも読んでいます」と、小欄「週刊TURNOVER」に興味を示してくれた。

 取材者として、こんなに嬉しいことはない。

 

 山岸選手は、4年生になって200人を超えるチームのキャプテンに指名された。

 東京・中大付属高出身。関東からファイターズの門を叩いた人間が主将に抜擢されるのは、極めて異例だった。

 リーダーとしての資質はすぐに発揮され「今年のキャプテンはいい」という声を、多くのOBや関係者から聞いた。

 この年、2016年の関西学生リーグでは関西のライバル立命大を破り、甲子園ボウルでは関東代表の早大を倒した。

2016年の甲子園ボウルで、早大のRBをタックルする関学大時代の山岸選手(47)=阪神甲子園球場
2016年の甲子園ボウルで、早大のRBをタックルする関学大時代の山岸選手(47)=阪神甲子園球場

 

 富士通には、フットボール枠ではなく一般の試験を受けて入社した。社会人として仕事で勝負したいという話は、職場が近い関係で時々ランチをともにした際に聞いていた。

 それでも、やはりフットボールへの情熱は冷めていなかったのだろう。けがを克服してトレーニングに励み、チームの中核として存在感を示す。

 

 日本一を決めるライスボウルで優勝した時、「山岸明生の母です。いつも気にかけてくださり、ありがとうございます」と、お母様から声をかけられた。

 「こういう親御さんに育てられると、こういう素晴らしい青年になるのか」。その時、そう思った。

 

 CFLに実力を認められた山岸選手に、祝福のメッセージを送った。返ってきた文面には、こう書かれていた。

 「社会に出てから『プロフェッショナル』とは何かを考えるようになった。自分の好きなスポーツで、プロとして働けることへの誇りと責任を持ち、カナダの地で日本人の力を証明したいと思っている。毎日毎日勝負して、道を切り開きたい」

 また一つ、楽しみが増えた。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

最新記事