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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

コロナ禍でサラリーキャップに影響 チーム運営に苦慮するNFL

2021.2.24 11:56 生沢 浩 いけざわ・ひろし
解雇が決まったパッカーズのOTリック・ワグナー(71)(AP=共同)
解雇が決まったパッカーズのOTリック・ワグナー(71)(AP=共同)

 

 NFLの活動に基づいた年度を「リーグイヤー」と呼ぶが、今年は3月17日(日本時間18日)をもって正式に2021年のリーグイヤーがスタートする。

 

 この日からトレードやフリーエージェント(FA)による移籍が解禁になるが、今年は近年になくベテラン勢に厳しいオフシーズンとなるかもしれない。

 

 サラリーキャップ(チームの年俸総額)が大幅に減額されると予想されるからだ。

 

 

 毎年右肩上がりに増額傾向のあったサラリーキャップは、2011年以降初めて前年実績を下回ることがほぼ確実となった。原因はもちろん、新型コロナウイルスによるリーグの収入減だ。

 

 特に影響が大きかったのは観客数の激減だ。2019年には計1700万人の動員を記録したが、2020年はわずか120万人だった。

 

 このため、7年連続で前年より1000万ドル(約10億5000万円)以上の上昇を続けてきたサラリーキャップが減少傾向に転じた。

 

 

 今年のサラリーキャップ額はまだ集計途中だが、リーグとNFL選手会の合意で最低保証額を1億8000万ドルとすることが決まった。

 

 これを下回ることはなくなったが、昨年実績が1億9800万ドルだったから最大で1800万ドルの減額となる。

 

 ちなみに昨年同時期の試算では2021年度は総額2億1000万ドルになるとの予測もあった。

 

 

 仮に2021年のサラリーキャップが1億8000万ドルになったとすると、すでにこれを超過しているチームが数チームあるという。

 

 これらのチームは、年俸の高い選手を解雇するか選手の契約内容を見直すなどしてサラリーキャップを下回らないと、新たな選手を獲得できないことになる。ドラフトで指名した選手の年俸も払えないことになるのだ。

 

 

 こうした状況で割を食うのはたいていベテラン選手だ。年俸の高い選手を解雇すれば手っ取り早く総年俸を抑えられるからだ。

 

 ピークを過ぎた選手ほどチームからあっさりと契約を解除されてしまう。

パッカーズを解雇されたLBクリスチャン・カークシー(AP=共同)
パッカーズを解雇されたLBクリスチャン・カークシー(AP=共同)

 

 

 このオフでもパッカーズがLBクリスチャン・カークシーとOTリック・ワグナーを、ファルコンズがFSリカルド・アレン、DEアレン・ベイリーを解雇するなど動きが激しくなっている。

 

 トレードによる放出も行われる。イーグルスがQBカーソン・ウェンツをコルツにトレードしたが、契約内容はそのままコルツが受け継ぐことになるため、イーグルスはウェンツの年俸分をサラリーキャップから控除することに成功した。

トレードでコルツへの移籍が決まったイーグルスのQBウェンツ(AP=共同)
トレードでコルツへの移籍が決まったイーグルスのQBウェンツ(AP=共同)

 

 

 もっとも、コルツも2年契約だったQBフィリップ・リバースが在籍1年で引退しているので、年俸枠に余裕があったために成立したトレードだった。

 難しいリーグ運営を強いられながら、スーパーボウルを予定通り開催してシーズンを締めくくったNFLだが、新型コロナウイルスの影響から完全に抜け出すまでの道のりはまだ遠い。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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