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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

スターぞろいのチーム同士が激突 第55回スーパーボウル展望

2021.2.5 12:03 生沢 浩 いけざわ・ひろし
バッカニアーズオフェンスの鍵を握るQBブレイディ(12)とTEグロンカウスキー(87)(AP=共同)
バッカニアーズオフェンスの鍵を握るQBブレイディ(12)とTEグロンカウスキー(87)(AP=共同)

 

 NFLで試合に勝つために必要な条件はいくつもあるが、主要なプレーメーカーがその役割を果たすということもその一つだ。

 当たり前のことなのだが、これがスーパーボウルの舞台でとなると意外なほどに難しい。

 

 例えば、一昨年の大会ではラムズのエースRBトッド・ガーリーがわずか35ヤードしか走れず、第50回大会ではリーグMVPのQBキャム・ニュートン(パンサーズ)は投げたパスの半分も成功できなかった。

 その2年前には、ブロンコスのQBペイトン・マニングがシーホークスのディフェンスに完全に封じ込められた。

 

 これはカンファレンス決勝からスーパーボウルまで2週間の間隔があり、その分だけ相手の主力選手を研究して対策を立てることができるためだろう。

 つまり、相手のプレーメーカーを封じ込める策を用意することが、スーパーボウルで勝つための条件であると言える。

 

 ただし、今年のチーフスとバッカニアーズについてはこの条件が当てはまりにくい。いや、一人や二人のプレーメーカーを封じたところで、それが戦局には影響しないと言った方が正確かもしれない。それだけ両チームにはタレントがそろっている。

 

 まずチーフス。パトリック・マホームズは今さら説明するまでもなく、運動能力抜群のQBである。

 プレーオフで痛めた足の回復状況は気になるところだが、ブーツレッグ、スクランブル、ランニングしながらのパスなど脚力を存分に使ったプレーは、QBサックを回避するのに効果があるだけでなく、数々のビッグプレーを生んできた。

 ミスを恐れない度胸の良さも、このプレースタイルに見事に合っている。

 

 レシーバーではNFL随一のスピードを誇るWRタイリーク・ヒルとTEトラビス・ケルシーがバッカニアーズのトッド・ボウルズ守備コーディネーターを悩ませる。

 ヒルは第12週のバッカニアーズとの対戦でも269ヤードレシーブ、3TDパスキャッチと大暴れした。プレーオフでもロングパスキャッチを連発している。ダブルカバーが必要なレシーバーだ。

チーフスのエースWRヒル(AP=共同)
チーフスのエースWRヒル(AP=共同)

 ケルシーはポストシーズンだけで100ヤードレシーブを超えた試合が五つもあり、コンスタントな活躍でオフェンスを支える。

 ディフェンスではベテランSSタイラン・マシューがパスディフェンスで大きな貢献を見せるほか、新人CBラジャリアス・スニードがプレーオフ2試合でともにQBサックを記録するなど、セカンダリーにタレントがいる。

 

 対するバッカニアーズは、かつてほかのチームでスターとして鳴らした選手の宝庫だ。

 QBトム・ブレイディを筆頭にTEロブ・グロンカウスキー、RBレナード・フォーネット、WRアントニオ・ブラウン、DTエンダムコング・スー、OLBジェイソン・ピエールポールはいずれも「チームの顔」として活躍してきた。

 さすがに全員が全盛期の実力を維持しているとは言いがたいが、スーパーボウル経験者も多い。

 

 これらに加えWRマイク・エバンス、クリス・ゴドウィン、LBデビン・ホワイトらもプレーメーカーと呼ぶにふさわしく、誰が試合を決めるキーマンとなっても不思議ではない。

 

 両チームともオフェンスのポゼッションごとに得点するだけの力を持つ。こうしたチームの対戦では、ターンオーバーが試合の流れを変える大きな要因となる。

 特にバッカニアーズはプレーオフでのセインツ戦、パッカーズ戦ともにターンオーバーバトルを有利に運ぶことで勝利をつかんできた。

 逆にブレイディのパッカーズ戦で犯した三つのインターセプトは試合を壊すまでの悪影響はなかった。ここはラン守備1位のディフェンスがうまくカバーした結果だ。

 ただし、これがチーフスオフェンスに通用するかは分からない。

 

 チーフスの弱点はスロースタートなことだ。前半で大量リードを奪われるような展開だと、ブレイディ相手には勝つことが難しいだろう。

 ただし、マホームズもまたブレイディ同様に数々の大逆転を演じてきた。ハーフタイム時に3ポゼッション差以内だったら、試合はまだ分からないと言うべきだろう。

ビルズとのAFC決勝でTDパスを決めて喜ぶチーフスのQBマホームズ(AP=共同)
ビルズとのAFC決勝でTDパスを決めて喜ぶチーフスのQBマホームズ(AP=共同)

 

 今年の第55回大会は、2月7日(日本時間8日)にフロリダ州タンパで開催される。

 チーフスの連覇か、バッカニアーズの18年ぶり優勝か。スターぞろいのスーパーボウルならではの、手に汗握る攻防を期待したい。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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