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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

見どころ多い2試合に注目 NFL、日本時間25日にカンファレンス決勝

2021.1.21 13:20 生沢 浩 いけざわ・ひろし
抜群の安定感が光るパッカーズのQBロジャース(AP=共同)
抜群の安定感が光るパッカーズのQBロジャース(AP=共同)

 

 NFLのプレーオフは、スーパーボウル出場チームを決めるAFC、NFC両カンファレンス決勝を迎える。

 

 AFCでは昨年のリーグ覇者チーフスが3年連続となる地元アローヘッドスタジアムでのカンファレンス決勝を戦う。対戦相手はビルズだ。

 ビルズは1990~93年シーズンに4年連続のスーパーボウル出場(いずれも敗退)を果たして以来の大舞台だ。

 

 NFCはパッカーズが2年連続の出場だが、13年ぶりにホームのランボーフィールドで迎えるカンファレンス決勝だ。アーロン・ロジャースが先発QBになってからは初めての地元でのNFC決勝となる。

 パッカーズに挑むのは、2002年以来の決勝進出のバッカニアーズだ。スーパーボウルで6回の優勝を経験したQBトム・ブレイディが、移籍1年目でチームを引っ張ってきた。

 

 奇しくも両カンファレンス決勝と同じカードがレギュラーシーズンの第6週に行われた。その時はチーフスとバッカニアーズがそれぞれ勝利している。

 2月7日(日本時間8日)にフロリダ州タンパのレイモンドジェームズスタジアムで開催される第55回スーパーボウルに進出するのはどのチームか。カンファレンス決勝の見どころと注目選手を追う。

 

 【NFC決勝=米東部時間24日午後3時5分キックオフ、日本時間25日午前5時5分】

 ▽バッカニアーズ対パッカーズ

 スーパーボウル(1967年に初開催)以前を含み、計13回のリーグ優勝を誇る「タイトルタウン」ことウィスコンシン州グリーンベイで行われるカンファレンス決勝だ。

 スーパーボウル優勝杯にその名前が冠されているビンス・ロンバルディー氏は、言わずと知れたパッカーズの名将だった。パッカーズが勝てば2010年シーズン以来のトロフィーの「帰還」となる。

 

 パッカーズの武器はリーグ1位の得点力だ(1試合平均31・8点)。オフェンスの原動力はQBロジャースとWRダバンテ・アダムズを中心とするパス攻撃である。

 今季のロジャースはリーグ最多の48TDパスを成功させ、アダムズはこれもリーグ1位の18TDパスキャッチを記録した。

 ディフェンスを正確に読み、カバーの隙間を見つけてそこにパスを通す技術とコンビネーションは無敵だ。

 

 そこにアーロン・ジョーンズ、ジャマール・ウィリアムズ、A.J.ディロンのRBトリオが加わる。すべてのオフェンスドライブで得点を挙げることが可能な強力オフェンスだ。

 

 今季全体を通してコンスタントに高いレベルを維持してきたパッカーズとは対照的に、バッカニアーズは終盤に一気にギアを上げてきた。

 ブレイディのフィロソフィーが浸透するまで予想以上に時間がかかったことは否めないが、今ではWRマイク・エバンス、クリス・ゴドウィン、アントニオ・ブラウンを駆使して思うようなパスオフェンスが組み立てられるようになった。

バッカニアーズオフェンスの司令塔、QBブレイディ(AP=共同)
バッカニアーズオフェンスの司令塔、QBブレイディ(AP=共同)

 

 そこにRBレナード・フォーネットのランとパスキャッチが加わるとパッカーズに劣らない得点力を持つようになる。

 セインツを破ったディビジョナルプレーオフ(準決勝)では、ディフェンスのテイクアウェー(ターンオーバーによるポゼッションの獲得)が鍵を握った。

 その中心となったLBデビン・ホワイトはタックル数、QBサック数ともにチーム最多のプレーメーカーだ。パッカーズ戦でも彼の活躍は不可欠だ。

 

 【AFC決勝=米東部時間24日午後6時40分キックオフ、日本時間25日午前8時40分】

 ▽ビルズ対チーフス

 チーフスのアンディ・リードHCは、イーグルスの指揮官時代も含めて8度目のカンファレンス決勝だ。昨年はようやく悲願のスーパーボウル制覇を果たした。

 今季は連覇の懸かったシーズンとなるが、ここまでは順当に来たと言っていいだろう。それだけチーフスの戦力は充実している。

 連覇が実現すれば2003、04年シーズンのペイトリオッツ以来で、史上9例目の快挙だ。

 

 QBパトリック・マホームズが率いるオフェンスは1試合平均415・8ヤードを稼ぐ爆発的な力を保持し、今季も高い得点力を誇ってきた。

 マホームズのサポートキャストはTEトラビス・ケルシー、俊足のWRタイリーク・ヒル、新人RBクライド・エドワーズ・エレイアと人材豊富だ。

ブラウンズとのAFC準決勝でのチーフスQBマホームズ(AP=共同)
ブラウンズとのAFC準決勝でのチーフスQBマホームズ(AP=共同)

 ただ、マホームズがディビジョナルプレーオフで脳しんとうを起こし、エドワーズ・エレイアも足首の故障を抱えており、ビルズ戦までに体調を整えられるかが懸念される。

 ディフェンスではSSタイラン・マシューが今季6インターセプトと好調だ。パスを多用するビルズオフェンスを止めるキーマンになる。

 

 ショーン・マクダーモットがHCに就任した2017年から着実に力をつけてきたビルズは、今季3年目のQBジョシュ・アレンが大きく開花した。

 そのきっかけとなったのはWRステフォン・ディグスの加入だろう。バイキングズでエースレシーバーとして活躍したディグスはアレンのナンバーワンターゲットとなり、NFL最多となる127回のパスキャッチを記録した。

 ビルズに欠けていたビッグプレーがこのコンビによって備わることになり、それが今季の躍進を支えてきた。

今シーズン才能が開花したビルズのQBアレン(AP=共同)
今シーズン才能が開花したビルズのQBアレン(AP=共同)

 

 総合力で比較すればチーフス有利は動かない。しかし、ビルズは現在NFLで最も長い8連勝中で勢いがあり、選手も実力に自信を深めている。

 リーグで3番目に多いテイクアウェー(26回)をマークしたディフェンスがターンオーバーを奪えば、ビルズに試合の流れは傾くだろう。

 ただし、そのためにはシーズン中に22回も犯したギブアウェー(ターンオーバーによるポゼッションの喪失)を少なくすることが絶対条件だ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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