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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

第1シードのチーフス、パッカーズが登場 NFLプレーオフ準決勝

2021.1.16 8:00 生沢 浩 いけざわ・ひろし
NFCの第1シード、パッカーズQBロジャース(AP=共同)
NFCの第1シード、パッカーズQBロジャース(AP=共同)

 

 NFLのプレーオフはAFC、NFCの各準決勝、ディビジョナルラウンドを迎える。

 残っているチームは各カンファレンスで4チームずつ。いよいよトップシードのチーフス(AFC)とパッカーズ(NFC)が登場する。

 1週間のブランクがあくことで試合勘を取り戻すのに苦労し、下位シードチームに足をすくわれることも珍しくないディビジョナルプレーオフだが、チーフスは6年連続、パッカーズはアーロン・ロジャースが正QBとなった2008年から、13年で10回のプレーオフ進出と経験豊富だ。対処法は熟知しているはずだ。

 

 AFCの先発QB4人(パトリック・マホームズ、ジョシュ・アレン、ラマー・ジャクソン、ベイカー・メイフィールド)の平均年齢は25歳に10日ほど満たないだけという若さだ。

ブラウンズオフェンスの司令塔、QBメイフィールド(6)(AP=共同)
ブラウンズオフェンスの司令塔、QBメイフィールド(6)(AP=共同)

 対象的にNFCではトム・ブレイディ(43歳)とドルー・ブリーズ(1月15日に42歳の誕生日)のベテランが、健在ぶりをアピールしている。

 スーパーボウル(2月7日・フロリダ州タンパ)を決勝とするならばディビジョナルプレーオフは準々決勝にあたる。その見どころを探ってみた(勝敗数はプレーオフの結果を含む)。

 

 【1月16日(日本時間17日)】

 ▽ラムズ(11勝6敗)@パッカーズ(13勝3敗)

 NFLトップの得点力(1試合平均31.8点)を誇るパッカーズオフェンスと失点(18・5点)とトータルディフェンス(281・9ヤード)でリーグ1位のラムズディフェンスの真っ向勝負だ。

 パッカーズはQBアーロン・ロジャースとWRダバンテ・アダムスのホットラインが最大の武器だ。そこにA.J.ディロン、アーロン・ジョーンズ、ジャマール・ウィリアムズのRB陣が厚みを加える。

 ラムズはDEアーロン・ドナルドがNFL2位タイの13・5サックで今季も好調だ。

 彼に注目が集まるのは当然だが、ワイルドカードプレーオフではわき腹を痛めて後半はほとんど出場しなかったにもかかわらず、シーホークスオフェンスをほぼ完璧に抑え込んだ。ドナルドが不在でも、安定感を失わないディフェンスの総合力は高い。

 QBジャレッド・ゴフ(利き手である右手親指の骨折でレギュラーシーズンの第16週後に手術)の回復具合は懸念材料だ。

 ゴフはシーホークス戦で第2Q途中から出場したが、けがの影響は明らかだった。この1週間でどこまで復調しているか。

 

 ▽レーベンズ(12勝5敗)@ビルズ(14勝3敗)

2019年シーズンの試合後に言葉を交わすビルズのQBアレン(右)とレーベンズのQBジャクソン(AP=共同)
2019年シーズンの試合後に言葉を交わすビルズのQBアレン(右)とレーベンズのQBジャクソン(AP=共同)

 試合当日のニューヨーク州バファローの天気予報は最高気温が2~4度、最低気温は0度前後でにわか雨か雪、風がやや強いようだ。

 極寒というほどではないが、雨や雪の状況次第でランが多用される展開になるかもしれない。

 ラン勝負に持ち込むならRB陣(マーク・イングラム、ガス・エドワーズ、J.K.ドビンズ)のみならずQBラマー・ジャクソンまでもが強力なランニングアタックを生み出すレーベンズが有利だ。

 ビルズのラン守備は1試合119・6ヤード(リーグ17位)と必ずしもよくない。スクランブルではなくデザインされたプレーとして走ってくるQBは同地区のペイトリオッツのキャム・ニュートンで経験済み(今季2戦2勝)だが、ランオフェンス全体ではレーベンズの方がレベルは上だ。ラン対策の出来が鍵を握る。

 一方のビルズオフェンスはQBジョシュ・アレンのパスとRBデビン・シングレタリーのランによるバランスアタックが特徴だ。

 アレンからWRステフォン・ディグスへのパスも大きな得点源となる。この対決はそれぞれのオフェンスがどこまで本領を発揮して、より多くの得点を重ねるかにかかっている。

 

 【1月17日(日本時間18日)】

 ▽ブラウンズ(12勝5敗)@チーフス(14勝2敗)

 満を持して昨季のスーパーボウルチャンピオンのチーフスが登場する。オフェンスにはQBパトリック・マホームズを筆頭にRBクライド・エドワーズ・エレイア、WRタイリーク・ヒル、WRトラビス・エルシー、ディフェンスではDTクリス・ジョーンズ、DEフランク・クラーク、Sタイラン・マシューらタレントがそろっている。

チーフス守備の中心選手DBマシュー(AP=共同)
チーフス守備の中心選手DBマシュー(AP=共同)

 プレーオフで勝ち残っている8チームで最も戦力が整い、隙がないと言っていい。

 ブラウンズはワイルドカードプレーオフのスティーラーズ戦で中盤に攻守ともに失速し、反撃を許すシーンがあった。

 直前に新型コロナウイルスの感染者が出た影響で練習がほとんどできなかったのが理由だ。今週は十分に練習ができたはずだ。QBベイカー・メイフィールドのパスは向上が期待できるし、RBニック・チャブ、元チーフスのカリーム・ハントのランも強力だ。

 DEマイルス・ギャレットを中心としたディフェンスがいかにマホームズを止めるかが勝敗を分けることになる。

 

 ▽バッカニアーズ(12勝5敗)@セインツ(13勝4敗)

セインツのDEヘンドリクソン(91)のタックルを受けながらパスを試みるバッカニアーズのQBブレイディ(12)(AP=共同)
セインツのDEヘンドリクソン(91)のタックルを受けながらパスを試みるバッカニアーズのQBブレイディ(12)(AP=共同)

 これがドルー・ブリーズとトム・ブレイディの最後の対決になるかもしれない。スーパーボウルでは実現しなかった両パサーの対戦だが、ブレイディがペイトリオッツからバッカニアーズに移籍したことで、今季3度目の顔合わせとなる。レギュラーシーズンはブリーズのセインツが2勝している。

 ブリーズは今季限りで引退する可能性が濃厚だ。すでにNBC放送の解説者に内定もしている(就任時期は未定)。NFLを代表してきた好パサーの対決は見逃すことができない。

 総合力ではオフェンスにブリーズのほかWRマイケル・ピーター、RBアルビン・カマラがそろい、リーグ4位のディフェンスにDEキャメロン・ジョーダン、CBマーション・ラティモアを擁するセインツが上だ。ホームで戦うアドバンテージもある。

 しかし、相手はスーパーボウル6回優勝のブレイディである。一筋縄ではいかないだろう。

 バッカニアーズには、スーパーボウル史上初となるホームチームの出場という夢もかかっている。楽しみな一戦だ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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