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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

日本時間1月10日スタート NFLプレーオフ見どころ

2021.1.8 11:47 生沢 浩 いけざわ・ひろし
新人ながらスターの風格を漂わせるワシントンFTのDEヤング(AP=共同)
新人ながらスターの風格を漂わせるワシントンFTのDEヤング(AP=共同)

 

 日本時間の1月10日から、いよいよNFLのプレーオフがスタートする。

 今季から出場チームが二つ増えたことにより、プレーオフ1回戦のワイルドカードラウンドは土曜日と日曜日に3試合ずつ行われる。出場チームの顔ぶれを紹介しつつ、対戦カードの見どころを探る。

 

 【1月9日(日本時間10日)】

 ▽コルツ(11勝5敗)@ビルズ(13勝3敗)

 ワイルドカードラウンド6試合の中でただ一つ、ポストシーズンでの初の顔合わせとなる。コルツのフランク・ライクHCにとっては、現役時代に所属した古巣との対戦だ。

 ホームのビルズは1995年以来となるAFC東地区優勝で、AFCの第2シードの地位を獲得した。過去4シーズンで3回目のプレーオフ出場だが、今季はリーグ2位の得点力(1試合平均31・3点)を誇るオフェンスが武器で、近年では最も戦力が充実している。

 6連勝中という勢いのある中で、極寒のバファローで試合を開催するアドバンテージも味方する。

ビルズ躍進の原動力となったQBアレン(AP=共同)
ビルズ躍進の原動力となったQBアレン(AP=共同)

 QBジョシュ・アレンはパスで4544ヤードを稼ぎ、37TDパスを成功させるなど、キャリア3年目で大きな成長を遂げた。自身のラッシュでも8TDを挙げている。

 アレンのトップターゲットは、移籍1年目でリーグトップの127回のパスキャッチを記録したWRステフォン・ディグスだ。このホットラインが爆発すれば、25シーズンぶりのプレーオフ勝利も見えてくる。

 コルツも最終の5試合で4勝1敗と好調だ。ベテランQBフィリップ・リバースが若い布陣を牽引する。

 新人RBジョナサン・テーラーは、最終の第17週にNFL歴代2位タイの253ヤードラッシュをマークした。ランがより重要となる冬の戦いで頼りになる存在だ。

 リーグ2位のランディフェンス(1試合平均90・5ヤード)に助けられてロースコアに持ち込めば勝機を見出すことができる。

 

 ▽ラムズ(10勝6敗)@シーホークス(12勝4敗)

 今季の同地区ライバルの対戦はお互いにホームで勝って1勝1敗。3度目の対戦はシーホークスのオフェンス対ラムズのディフェンスというマッチアップが見どころだ。

 シーホークスのオフェンスはDKメトカーフとタイラー・ロケットの二人の1000ヤードレシーバーを輩出した。QBラッセル・ウィルソンはシーズン後半にインターセプトが多くなるなどやや調子を落としているが、9年のキャリアで8回目のプレーオフ出場で、負けたら終わりの「ノックアウトステージ」に向けての調整方法を熟知している。

 ポストシーズンではまた1段階ギアを上げたパフォーマンスを披露するだろう。

 ラムズはNFL最少失点(1試合平均18・5点)のディフェンスで対抗する。スターDLのアーロン・ドナルドは13・5サックを記録。ウィルソンにプレッシャーをかけてパスオフェンスを不発に終わらせたい。

 ラムズにとっての懸念材料はQBだ。スターターのジャレッド・ゴフは、第16週の同じカードで利き手の右手の指を骨折した。プレーオフに間に合わせるべく緊急手術を受けて最終戦は欠場したが、この試合に出場できるかは分からない。

 控えのジョン・ウルフォードが出場するとなると、ディフェンスにかかる負担はより大きくなる。

 

 ▽バッカニアーズ(11勝5敗)@ワシントンFT(7勝9敗)

 移籍1年目で、過去13年もプレーオフから遠ざかっていたバッカニアーズをここまで引っ張ってきたQBトム・ブレイディはさすがと言うほかはない。

ライオンズ戦でベンチから戦況を見守るバッカニアーズのQBブレイディ(AP=共同)
ライオンズ戦でベンチから戦況を見守るバッカニアーズのQBブレイディ(AP=共同)

 経験値が大きくものをいうポストシーズンでは、久しぶりの出場チームが勝ち進むのは難しい傾向があるが、ペイトリオッツ時代に17回の出場経験があるブレイディと、シーズン途中の加入ではやりプレーオフ経験のあるWRアントニオ・ブラウンの存在はその不利を補って余りある。

 負け越しながらNFC東地区優勝でプレーオフ出場権を得たワシントンFTは、ディフェンスの奮起に期待だ。

 新人DEチェース・ヤング(7・5サック)はすでにスターの風格十分。パスラッシュでブレイディにプレッシャーをかけ続けたい。

 

 【現地時間1月10日(日本時間11日)】

 ▽レーベンズ(11勝5敗)@タイタンズ(11勝5敗)

 昨年のディビジョナルプレーオフでは、第6シードから勝ち上がったタイタンズが第1シードのレーベンズを破って波乱を起こした。そのリマッチである。

 タイタンズは今季もRBデリック・ヘンリーが主力だ。史上8人目となる1シーズン2000ヤードラッシュを達成してプレーオフに臨む。

 2年連続でリーディングラッシャーとなったヘンリーが、プレーオフでも快走を見せるだろう。

 一方のレーベンズも地上戦では負けていない。QBラマー・ジャクソンは、2年連続で1000ヤード超のラッシュを達成した史上初のQBとなった。

自身のプレーオフ初勝利を目指すレーベンズのQBジャクソン(AP=共同)
自身のプレーオフ初勝利を目指すレーベンズのQBジャクソン(AP=共同)

 マーク・イングラム、ガス・エドワーズ、J.K.ドビンズのRB陣もNFL最強のラン攻撃を支える。

 今やNFLを代表するスターとなったジャクソンだが、プレーオフは過去0勝2敗。昨年のリベンジマッチで初勝利をあげたい。

 

 ▽ベアーズ(8勝8敗)@セインツ(12勝4敗)

 過去3年のセインツは、いずれもプレーオフではあと一歩のところで勝利を逃す悔しい敗退を経験した。

 QBドルー・ブリーズにとっても、スーパーボウルを目指すおそらく最後のチャンスと思われる今季は何が何でも勝ちたい。

スーパーボウル出場に意欲を燃やすセインツのベテランQBブリーズ(AP=共同)
スーパーボウル出場に意欲を燃やすセインツのベテランQBブリーズ(AP=共同)

 ただ、エースRBであり最大の得点源であるRBアルビン・カマラが新型コロナウイルスに感染して欠場中。試合に間に合うかは微妙な状況だ。ショーン・ペイトンHCはゲームプランの練り直しを余儀なくされるかもしれない。

 ベアーズは故障者が多く、本来の戦力が整わない。DB陣のジェイロン・ジョンソンとバスター・スクリーンはシーズン終盤から欠場中で、新人WRダーネル・ムーニーも第17週のパッカーズ戦で負傷したのが不安材料だ。

 

 ▽ブラウンズ(11勝5敗)@スティーラーズ(12勝4敗)

 現在NFLで最も長い18年間もプレーオフから遠ざかっていたブラウンズがいよいよ登場だ。

 対戦相手は球団創設以来、最大のライバルであるスティーラーズ。過去2回のプレーオフでの対戦ではいずれもスティーラーズが勝っている。

 ブラウンズは最近の5年でドラフトを中心に生え抜きの選手で戦力を整えてきた。

 QBベイカー・メイフィールドやRBニック・チャブらはいずれも将来を担うと期待される新鋭だ。そこにオフェンスのゲームプラン構築では定評のあるケビン・ステファンスキーHCが就任したことで、プレーオフ出場が実現した。ただし、ステファンスキーHCは、新型コロナウイルスに感染したことが明らかになったため、この試合は欠場となる。

 対するスティーラーズはリーグ最多の15サックを記録したLBのT.J.ワットを中心にブリッツ多用のディフェンスで対抗する。

ブラウンズオフェンスの司令塔QBメイフィールド(AP=共同)
ブラウンズオフェンスの司令塔QBメイフィールド(AP=共同)

 オフェンスは、肘の故障から完全復活したQBベン・ロスリスバーガーと新人チェイス・クレイプール、ディオン・ジョンソン、ジュジュ・スミス・シュースターらのWR陣が中心となってTDを量産する。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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