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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

スティーラーズの連勝止まる チーフス、セインツはプレーオフ進出

2020.12.9 11:41 生沢 浩 いけざわ・ひろし
ワシントン守備陣の激しいプレッシャーを受けるスティーラーズのQBロスリスバーガー(7)(AP=共同)
ワシントン守備陣の激しいプレッシャーを受けるスティーラーズのQBロスリスバーガー(7)(AP=共同)

 

 開幕から続いたスティーラーズの連勝がついに11でストップした。NFL第13週にワシントンフットボールチーム(57敗)が23-17で勝利し、これで無敗のチームはなくなった。

 

 ワシントンがスティーラーズに勝つのは29年ぶりのことだ。スティーラーズは勝てば2015年のパンサーズ以来の開幕12連勝のチーム誕生となるはずだった。

 

 

 これによりAFCのトップシード争いはスティーラーズとチーフスが11勝1敗で並び、それをビルズとブラウンズが93敗で追う展開だ。

 

 また、早くもプレーオフ出場を決めたチームも現れた。AFCではチーフスが6年連続、NFCでは9連勝のセインツ(10勝2敗)が4年連続のプレーオフ進出となった。

エースQBブリーズ不在の間、セインツの司令塔を務めるヒル(7)(AP=共同)
エースQBブリーズ不在の間、セインツの司令塔を務めるヒル(7)(AP=共同)

 

 

 数字の上では、この1敗はスティーラーズのプレーオフ出場の可能性を脅かすものではない。ただ、14―0のリードをひっくり返された負け方は、チームに「嫌な感じ」を残したに違いない。

 

 今年のスティーラーズの強さはオフェンスがQBベン・ロスリスバーガーのクイックリリースでテンポのいいオフェンスを展開し、安定したボールコントロールで試合を支配することにあった。

 

 そしてディフェンスは徹底したブリッツ攻勢によって相手QBにロングパスを投げさせないスタイルだ。

 

 ところが、ワシントンはこの両方の長所を完全に封じ込めることに成功したのだ。

 

 

 ロスリスバーガーのクイックリリースに対してワシントンはDLやLBがスクリメージライン上でパスをたたき落とす作戦に出た。

 

 今季のロスリスバーガーはボールを2秒前後でリリースする反面、リリースポイントが低い。これまでもスクリメージライン上でパスをカットされるシーンは1試合で何度か見られた。ワシントンはここに着目した。

 

 

 さらに執拗なマンツーマンカバーでアンダーニースゾーンのレシーバーを完全にマークし、パスを通すスペースを可能な限り小さくすることに成功した。

プレーオフ進出を決めたチーフスのQBマホームズ(15)(AP=共同)
プレーオフ進出を決めたチーフスのQBマホームズ(15)(AP=共同)

 

 先週まで面白いように決まっていたロスリスバーガーのショートパスは無残にたたき落とされ、レシーバーはセカンダリーとの競り合いの中で落球を繰り返した。

 

 スティーラーズの最後のプレーもパスがスクリメージライン上ではじかれての被インターセプトだった。

 

 

 オフェンスではワシントンのQBアレックス・スミスが、ロスリスバーガーのお株を奪うクイックリリースでパスのリズムを作った。

 1回のプレーでゲインできる距離は短いが、じわじわと前進し、試合の後半でTDを重ねてついに逆転勝ちを収めたのだった。

スティーラーズのDBアレン(27)にタックルされる直前にパスを投げるワシントンフットボールチームのQBスミス(11)(AP=共同)
スティーラーズのDBアレン(27)にタックルされる直前にパスを投げるワシントンフットボールチームのQBスミス(11)(AP=共同)

 

 後半のスティーラーズは全くと言っていいほど攻守ともに機能せず、文字通りの「完敗」だった。

 

 スティーラーズにとってこの敗戦が「嫌な感じ」がするのは、ワシントンの作戦がそのままスティーラーズの攻略法となるからだ。

 

 これからの対戦相手には好調のビルズやコルツ、逆転地区優勝を狙うブラウンズなどが控える。単なる1敗と高をくくっていると痛い目に遭うかもしれない。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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