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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

日大―法政にくぎ付け シーズン序盤はオフェンス有利か

2020.10.15 11:58 中村 多聞 なかむら・たもん
法政戦でタックルをかわして前進する日大のRB川上=撮影:岡野将大
法政戦でタックルをかわして前進する日大のRB川上=撮影:岡野将大

 

 新型コロナウイルスの影響でリーグ戦の開幕が遅れてしまいましたが、関東大学リーグの1部TOP8では、ものすごいカードが開幕から組まれていました。

 フットボールファンの皆さんも、もちろん僕も非常に楽しみにしていたゲームです。そう、復活した日本大学フェニックスと法政大学オレンジの対戦です。

 無観客試合ですので会場には行けず、ネット放送で観戦した感想を書いてみたいと思います。

 

 もちろん最初に注目するのはフェニックスのQB林選手です。1年生時に甲子園ボウルで関学に勝利し、史上初めて1年生で年間最優秀選手(チャック・ミルズ杯)に輝き、試合の最優秀選手賞も獲得しました。

 「このまま史上初の4年連続個人賞独占か」なんて記事も当時に書きましたが、過去2年は残念ながらチームの不祥事で表舞台から遠ざかっていました。

 

 法政戦まで(僕には)一切の情報がなく、どのくらい腕を上げているのかとても楽しみにしていましたが、我々ファンの期待通りに「日大のエースQB」として、堂々とした試合運びを披露してくれました。

 

 コロナ禍で、どのチームも試合経験不足のせいか「体当たり」の部分に難があるように見えました。これはほぼ全てのチームが平等なので、だんだん慣れてくるのでしょう。

 例えば、自分から少し遠くを走っているボールキャリアにタックルする際、両腕を伸ばし横っ飛びで相手の下半身あたりに激しくぶつかりながら、腕で抱きつくのが「タックル」なのですが、多くの選手が横っ飛びの最中、先に自分の膝が地面に着いてしまい相手の脚まで手が届かないような場面が散見されました。

 まあ相手の脚も地面も当たると痛いし怖いものですから、この恐怖心を早く払拭できたチームから順番に勝ち星が増えていくのでしょう。

 

 そして、両チームのRB陣も非常に目につきました。数人の選手が入れ替わり出場していました。

 僕は長きに渡りRBの専門家ですので、選手の動きを見れば普段どのような取り組みをしているのかおおよその予想がつきます。

 

 僕のようなマニアック過ぎる指導者から習っていないことはハッキリわかります。

 皆さんタブーを犯すのですが、経験とセンス、スピードや運動神経でリカバリーするシーンが何度もありました。

 習っていなくてこんなに上手に守備選手の隙間をすり抜けていくシーンを、大画面で友人たちと見ていたのですが「すごい、すごい!」と何度も叫びました。

 

 まだ試合をしていないチームが多い中、暫定1位の日大と明治大学グリフィンズに追随するために、その他の大学のRBの皆さんができることは何でしょう? 

 

 僕自身もそうでしたが、指導する場合でもよく使うフレーズで「その練習ホンマにエンドゾーンまで行く気でやっているか?」というのがあります。

 もちろんプロのアメリカ人もよく使います。「Think score on every drill」なんて言われますが、守備陣のタックルが甘い序盤戦は、ボールキャリアがとても有利なようです。

 ヒットやタックルは一夜漬けや付け焼き刃ではどうにもならない、奥の深い技術ですからね。まだ皆さん本気で練習してきた時間が足らないのでしょう。

独走する日大のRB秋元=撮影:岡野将大
独走する日大のRB秋元=撮影:岡野将大

 

 タックルをしくじった選手が、心の底から本気で反省して猛練習に猛練習を重ねてくるまではRBにとってはチャンスです。

 その頃にはボールキャリアもヒットやタックルに慣れて、差を詰められないようにしないとですね。

 

 時代とともに、日本のフットボールもずいぶんと変化してきました。

 入れ替え戦もない異例のシーズンですが、体が動かない年齢になった時に後悔しないような選手生活を送ってもらいたいと思います。

 皆さん頑張ってくださーい!

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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