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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

ベアーズの鍵握る二人 先発QBの座争うトゥルビスキーとフォールズ

2020.9.2 12:05 生沢 浩 いけざわ・ひろし
ベアーズの先発QBの座を争うトゥルビスキー(10)とフォールズ(9)(AP=共同)
ベアーズの先発QBの座を争うトゥルビスキー(10)とフォールズ(9)(AP=共同)

 

 今年のNFLのトレーニングキャンプで、数少ない先発QB争いを展開しているのがベアーズだ。

 昨年までの先発ミッチェル・トゥルビスキーに、トレードで入団のニック・フォールズが挑む。かつてのドラフト全体2番目指名とスーパーボウルMVPのスターター争いである。

 

 トゥルビスキーは、2017年のドラフトでDEマイルス・ギャレット(ブラウンズ)に次ぐ全体2番目の指名を受けてベアーズに入団した。

 ベアーズは49ersとの交渉で指名順位を一つ上げてのトゥルビスキー獲得だった。

 

 ルーキーイヤーの第5週から正QBとなったトゥルビスキーは2年目の2018年に大きく成長した。

 パス成功率は約67%で24TDパスを成功させた。チームは8年ぶりの地区優勝でプレーオフに出場した。

 

 ベアーズのファンはようやくフランチャイズQBが現れたと喜んだことだろう。トゥルビスキーはこの年にプロボウルに選出された。

 ベアーズのQBとしては、スーパーボウルで優勝したシーズンのジム・マクマーン以来だった。

 

 しかし、昨年は再びプレーオフを逃してしまう。その主な原因となったのは、マット・ナギーHCの得意分野であるはずのオフェンスの不振だった。

 トゥルビスキー自身の数字はそれほど悪かったわけではないが、オフェンスに勢いを生むことができないとファンから批判された。

 

 皮肉にも2017年のドラフトでトゥルビスキーよりも8番も遅く指名されたチーフスのQBパトリック・マホームズが2018年にリーグMVP、昨年はスーパーボウルで優勝とMVPを獲得したのだから、歯噛みするベアーズファンは少なくなかっただろう。

 

 厳しい評価を下したのはファンだけではない。首脳陣もまたそうだった。

 1巡指名を受けた選手は、最初のNFLとの契約期間は4年と定められているが、チームには5年目への延長を選択する権利がある。

 ところがベアーズはその権利をトゥルビスキーに行使しなかった。見限ったとまではいわないが、彼の将来性に見切りをつけたに等しい。それがフォールズの獲得につながった。

ベアーズのライアン・ペースGM(左)とマット・ナギーHC(AP=共同)
ベアーズのライアン・ペースGM(左)とマット・ナギーHC(AP=共同)

 

 フォールズといえば、2017年シーズンにイーグルスでカーソン・ウェンツのバックアップを務めていたが、シーズン終盤にウェンツが故障で戦列を離れたためスターターとなり、そのままスーパーボウル優勝まで駆け上ったことが記憶に新しい。

 翌年もやはり故障欠場のウェンツに代わってプレーオフで勝利を挙げ「史上最高の控えQB」との評価を得た。

 

 その活躍が買われて昨年はジャガーズに移籍するのだが、開幕戦で鎖骨を骨折して長期の離脱を余儀なくされる。

 その間に新人のガードナー・ミンシューにポジションを譲ることになった。フォールズにとってベアーズからのトレードの申し入れは、新天地で再スタートを切る好機となった。

 

 ナギーHCは近々、開幕戦での先発QBを発表するとしている。今年は新型コロナウイルスの影響でプレシーズンゲームが行われない。

 ベアーズに限ったことではないが、実戦での分析ができないまま戦力の判断をする必要があるのだ。

 

 今季のNFC北地区は、昨年地区優勝のパッカーズに加え、バイキングズがさらに力をつけてきているとの評判だ。

 スターターQBの選択を誤れば、ベアーズはこの2強に大きく差をつけられてしまうかもしれない。ナギーHCの悩みは深い。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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