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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.338

2020.8.14 13:28 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
2013年5月に行われた「マスターズボウル」を、サイドラインから見守る岡康道さん=撮影:山岡丈士さん
2013年5月に神戸で行われた「マスターズボウル」を、サイドラインから見守る岡康道さん=撮影:山岡丈士さん

 

 アメリカンフットボールの「シニアチーム」の生みの親で、広告界のカリスマ的存在だった岡康道さんが7月31日、死去した。63歳だった。

 

 岡さんは東京都立小石川高校を卒業後、憧れの「京大ギャングスターズ」でのプレーを望んだが受験に失敗。1浪後に進学した早大では、体育会ではなく学内の同好会に入部した。

 

 大手広告代理店には営業職で入社した。社内試験に合格してクリエーティブ部門に移り、その後独立。数々のCMヒット作品を世に送り出した。

 

 「アメフトに関わっている時が、一番楽しい」と話していた岡さんは、50歳をすぎてからアメフトに対する情熱が再びわき上がり、シニアチームの「アンダーフィフティナイナーズ=59歳以下」を立ち上げた。

 

 シニアフットボールはフル装備で対戦するが、キックオフを行わないなど、安全面に配慮したルールが設けられている。

 岡さん自身は、膝を痛めて50代半ばで選手を断念し、代表やヘッドコーチとしてチームの運営に携わってきた。

 アメフトを、いくつになっても続けられる「生涯スポーツ」にという熱い思いが、岡さんを支えていた。

 

 プロ野球の横浜DeNAベイスターズのファンで、無類のスポーツ好き。

 NFLのナンバーワンを決めるスーパーボウルについて語る時、目線はいつも自らがプレーしていたQBで、会食の席では子どものように興奮し細部にわたって論評していた。

広告とスポーツについて書かれた岡康道さんエッセイ集
広告とスポーツについて書かれた岡康道さんのエッセイ集

 

 その岡さんと最後にやり取りをしたのは6月の下旬。新型コロナではないウイルス性の感染症が癒え、自宅で療養中の時だった。

 広告代理店の関係者から訃報が届いたのは、それからわずか1カ月後だった。

 

 「スポーツは、選手としての実績が全てだから」と、大学の体育会出身ではないという理由で、公の場でアメフトについて語ることを避けていた。

 しかし、低迷する人気回復の起爆剤になり得る〝秘策〟を、クリエーティブディレクターとして胸に秘めていると明かしてくれたことがある。

 それを聞けなかったのが、今となっては残念でならない。

 

 8月15日の「終戦の日」は、岡さんの64回目の誕生日。早すぎる死を、いまだに受け入れられない自分がいる。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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