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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

ブレイディ、ニュートンらに注目 大物QBの移籍相次ぐ異例のシーズン

2020.8.12 10:30 生沢 浩 いけざわ・ひろし
バッカニアーズのトレーニングキャンプに合流したQBブレイディ(中央)(AP=共同)
バッカニアーズのトレーニングキャンプに合流したQBブレイディ(中央)(AP=共同)

 

 NFLのトレーニングキャンプも3週目に入った。新型コロナウイルスへの懸念を理由に出場を辞退した選手は最終的に66人となったが、大半の選手は不安を抱えながらもシーズンに臨む決意をした。

 本来ならばプレシーズンゲームが始まる時期だが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で全試合が中止となった。

 首脳陣が入れ替わったチームや、主軸に新たな戦力が加わったユニットは実戦形式でのリハーサルを経ずに本番を迎える。

 

 キャンプといえばQBのポジション争いが話題となるのが常だが、今年は先発争いが熾烈なチームは意外なほどに少ない。

 ドラフト1巡全体5番目指名受けたトゥア・タンゴバイロアがベテランのライアン・フィッツパトリックに挑戦するドルフィンズや、ミッチェル・トゥルビスキーのポジションを2017年のスーパーボウルMVPのニック・フォールズが狙うベアーズくらいなものだ。

ドルフィンズの先発QBの座を争うフィッツパトリック(左)とタンゴバイロア(AP=共同)
ドルフィンズの先発QBの座を争うフィッツパトリック(左)とタンゴバイロア(AP=共同)

 

 だからといってQB交代が少ないわけではない。むしろ、昨季終盤から先発QBが替わる可能性のあるチームは少なくとも八つはあるのだ(上記のドルフィンズとベアーズを含む。エースQBが負傷中で控えが先発したライオンズやスティーラーズは除く)。

 しかも、チームの顔、いわゆる「フランチャイズQB」として長年活躍した選手が新天地でスターターとなるケースが多い。「大物QB」がこれだけ同時に移籍して迎えるシーズンは異例中の異例だろう。

 

 筆頭は言うまでもなくトム・ブレイディだ。2001年途中からペイトリオッツの先発QBとなり、スーパーボウルに9度出場して6回優勝するなど不動のエースの座を築いた。

 しかし、今年は契約切れとともにフリーエージェントでバッカニアーズに移籍。かつての盟友TEロブ・グロンカウスキーも引退を撤回してブレイディに合流した。

 これにより、2007年を最後にプレーオフに縁のないバッカニアーズが、スーパーボウル出場するチャンスを得たという声が高まっている。

 今季のスーパーボウルはバッカニアーズのホーム、レイモンドジェームズスタジアムが舞台となるから、史上初の本拠地開催の可能性も出てきた。

 

 そのブレイディの後任となる予定なのが、5年前のリーグMVPキャム・ニュートンだ。ニュートンは2011年にドラフト全体1位指名を受けてからパンサーズで活躍してきた。

 NFLでも群を抜く高い運動能力が持ち味だ。最近2年は故障に泣かされてきたが、名将ビル・ベリチックHCの下で自身が復活するとともに、強豪チームとしてのペイトリオッツの地位を守る役割も期待される。

パンサーズ時代のQBニュートン(1)(AP=共同)
パンサーズ時代のQBニュートン(1)(AP=共同)

 

 チャージャーズで長年スターQBとしてファンの支持を得てきたフィリップ・リバースはコルツに移籍した。

 イーライ・マニング(ジャイアンツ、引退)やベン・ロスリスバーガー(スティーラーズ)と同じ2004年のNFL入りだが、スーパーボウルには縁がない。

 心機一転、新天地で夢の実現を目指す。

 

 ブレイディはもちろん、ニュートンやリバースも長くエースの座を維持してきた。彼らが退団したチームも当然新たなQBを迎える。

 パンサーズは元バイキングズで、昨年はセインツでドルー・ブリーズの控えを務めたテディ・ブリッジウオーターが新スターターとなる。

 チャージャーズではタイロッド・テイラーが開幕先発の可能性が高く、いずれ新人のジャスティン・ハーバートが挑戦することになるだろう。

 そして、ベンガルズではドラフト全体1位指名のジョー・バーロウが登場する予定だ。

 

 春のチーム練習がオンラインを使ってのトレーニングやミーティングに限定され、ミニキャンプも中止となった今シーズンは移籍組に不利だと言われる。新しいスキームに触れ、チームメートとの連携をとる時間がなかったからだ。

 QBというポジションは影響が大きいだろう。恵まれた才能と豊富な経験でそれをいかに克服するか。それも新しい環境で成功を収める条件になる。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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