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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.335

2020.7.9 13:33 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
在りし日の篠竹幹夫さん
在りし日の篠竹幹夫さん

 

 「密」を避けての久しぶりの会食で、関学大アメリカンフットボール部のOBから「(新型コロナウイルスの影響がいたるところに出ている)今、篠竹さんが生きていたらどんな話をしただろうね」と尋ねられた。

 

 誰も経験したことがない未曽有の事態に直面したとき、硬派のカリスマが何を語るのか。とても興味深いテーマで、食事の手を止めてしばし考え込んだ。

 

 スパルタ指導で「フェニックス」を強豪に育てた、元日大監督の篠竹幹夫さんを知っている世代は限られてきている。

 大した才能もないのに、4年間でそこそこの選手に育てる手腕は見事だった。独特の深みのある言葉で、学生の心をわしづかみにする孤高の人だった。

 

 リーグ戦の開催を巡って、国内のアメフト界は揺れている。激しい身体接触を伴うスポーツだけに、3カ月後に試合ができるという保証はない。日本学生協会は、全日本大学選手権を中止する方針を固めた。

 本場米国では、学業面に秀でた8大学で構成する名門「アイビーリーグ」が、アメフトをはじめ秋に始まるすべてのスポーツを中止すると発表した。

 

 日本でも、大学によって施設の使用許可などの判断がまちまちで、実戦練習が全くできていないチームがほとんどだ。

 練習不足は試合中の事故にもつながりかねず、指導者は頭が痛いところだ。

 

 篠竹さんならどんな話をするだろう。

 「これも運命。いざ鎌倉というときに備えて、一人一人が万全の準備と心構えをしておけ」。凡人には、この程度しか思いつかない。

 

 7月10日は、73歳で天に召された篠竹さんの命日である。

 御大の数ある名言を思い出しながら、今は全国の現役学生諸君が安全に納得できるシーズンを全うしてくれることを祈るしかない。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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