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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

オンサイドキックの規則変更を討議 NFLオーナー会議

2020.5.27 11:14 生沢 浩 いけざわ・ひろし
昨季のカウボーイズ戦でオンサイドキックを試みるラムズのジョニー・ヘッカー(AP=共同)
昨季のカウボーイズ戦でオンサイドキックを試みるラムズのジョニー・ヘッカー(AP=共同)

 

 毎年この時期になるとNFLではルール変更案が提案され、オーナー会議によって採決される。

 オーナー会議での決定は例年通りだが、やはり今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響は避けられずオンライン会議で討議される。

 

 チームから提案のあったルール変更案をまず競技委員会が精査し、提案に値すると判断された事案をオーナー会議に諮る。今年は変更案を説明する文書があらかじめ全チームに配布されている。

 

 リプレーオフィシャルの増員などが主に討議される見込みだが、ゲームの進行に大きくかかわりそうなのは「オンサイドキック」の代わりとなるプレーの採用だ。

 オンサイドキックそのものが廃止されるのではなく、キックオフをするチームがオンサイドキックを敢行してボールのポゼッションの維持を試みる代わりに、オフェンスプレーを行って第1ダウン更新に成功すればそのまま攻撃権を得られるというものだ。

 そのオフェンスプレーは、自陣25ヤードからの「第4ダウン15ヤード」という設定だ。第1ダウン更新に失敗すれば、プレー終了地点から相手側の攻撃が始まるというリスクを負う。

 

 2019年にキックオフのルールが変更になり、キッキングチームはボールを挟んで左右に均等に5人ずつ選手を配置しなければならず、さらにキック前にセットする位置もボールの位置から1ヤード以内と定められ助走も禁止となった。

 このため、試合の終盤でビハインドのチームが攻撃権維持のために行う「見え見え」のオンサイドキックは成功例がほとんどなくなった。

 それを第4ダウン15ヤードのオフェンスプレーに置き換えることで攻撃権維持の可能性を高めようというのがルール変更案の狙いだ。

 現行ルールでのオンサイドキックよりも成功の確率は高く、終盤の逆転劇への期待が膨らむ。

 

 また、昨年導入されたパスインターフェアランスに対するビデオレビューは廃止される見込みだ。

 これは2018年シーズンのセインツとラムズとのNFC決勝で、ラムズ側に明らかにあったとされるディフェンスのパスインターフェアランスが審判に見過ごされ、試合結果に影響した可能性があると判断されたことから改定案として採用されたものだ。

 ただし、この新ルールは当初から試験的な導入であり、1年間施行した結果を見て恒久的なルールとするか否かを判断すると決められていた。

ビデオレビューの対象となるきっかけとなった2018年シーズンのNFC決勝、セインツ―ラムズでの〝パスインターフェアランス〟(AP=共同)
ビデオレビューの対象となるきっかけとなった2018年シーズンのNFC決勝、セインツ―ラムズでの〝パスインターフェアランス〟(AP=共同)

 

 反則の有無をビデオリプレーで確認するという作業は予想以上に審判団に負担があり、判定が覆る例も少なかったことから廃止を求めるチームが多かったようだ。

 一方で、誤審と疑われる審判の判断が後を絶たないのも事実だ。よりスピード化が進むプレー展開に対して審判の技量向上が追いついていないとの批判もある。

 テクノロジーの進歩に助けられている部分は大きいが、「誤審」を極力減らすための制度、ルールの見直しは今後も課題として残る。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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