メニュー 閉じる メニュー
スポーツ

スポーツ

週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

新天地で目指す初のスーパーボウル出場 コルツに移籍のQBリバース

2020.5.20 11:08 生沢 浩 いけざわ・ひろし
コルツで初のスーパーボウル出場を目指すQBフィリップ・リバース(AP=共同)
コルツで初のスーパーボウル出場を目指すQBフィリップ・リバース(AP=共同)

 

 ひいきチームの所属ではないにもかかわらず、不思議と多くのファンから愛される選手はいるものだ。

 

 昨年まで16年を過ごしたチャージャーズを離れ、今季からコルツに移籍するQBフィリップ・リバースもその一人だろう。

 

 

 感情を表に出し、気迫のこもったプレーを見せる。同世代で、試合中にほとんど表情を変えることのないトム・ブレイディ(ペイトリオッツ~バッカニアーズ)とよく対比される。

 

 故障にも強く、2007年シーズンのAFC決勝では右膝の前十字靱帯が断裂という深刻な負傷を抱えながら試合に強行出場し、レギュラーシーズン全勝のペイトリオッツに立ち向かった。

 

 

 イーライ・マニング(ジャイアンツ、昨季限りで引退)やベン・ロスリスバーガー(スティーラーズ)と同じ2004年のNFL入りで、ドラフト1巡指名選手らしく第一線で活躍してきた。

 

 だが、マニングやロスリスバーガーと違ってスーパーボウルには縁がない。

 

 その「無冠」がまたファンの感情を揺さぶるのかもしれない。「リバースには引退前に一度はスーパーボウルリングを取らせてあげたい」との声をチャージャーズファンではない人から聞いたことも1度や2度ではない。

 

 そのリバースは現在38歳。ブレイディやドルー・ブリーズ(セインツ)のように40歳を過ぎても一流のプレーを見せるQBはいるが、やはり彼のNFLキャリアは終盤に差し掛かったと言うべきだ。

 

 そして、悲願のスーパーボウル出場に今季はコルツで挑戦することになる。

 

 

 リバースとコルツオフェンスのマリアージュは悪くないだろう。長年の課題だったOLは2年前に新人ながらオールプロの選ばれたOGクエントン・ネルソンの加入以来安定感を増している。

 

 LTアンソニー・カストンゾも引退に傾いていた気持ちを翻意させて2年の契約延長を済ませた。チャージャーズ時代にもろいパスプロテクションに悩まされてきたリバースには心強い味方だ。

 

 

 ラン攻撃が強いのも好条件だ。1000ヤードラッシャーのマーロン・マックがいるおかげで、バランスアタックが可能となる。

 

 リバースはどうしても被インターセプトが多くなってしまう傾向があるから、ランとのバランスをとることによってターンオーバーを減らすことができる。

 

 

 肝心のレシーバー陣はベテランのT・Y・ヒルトンを筆頭に昨年のチームのリーディングレシーバーとなったザック・パスカル、ドラフト2巡指名のマイケル・ピットマン(USC)など人材は豊富だ。

 

 RBナイヒーム・ハインズはチェックダウンレシーバーとして起用できる。

 

 

 弱点はTEか。エースTEエリック・イブロンはフリーエージェントでスティーラーズに移籍した。

 

 リバースはチャージャーズ時代にTEアントニオ・ゲイツ(昨季限りで引退)とホットラインを組んできたので、このポジションに人材は欲しい。

 

 

 リバースは昨季もリーグ4位となる4615ヤードを投げるなど肩の強さは健在だ。若い選手の多いコルツでリーダーシップも発揮できるだろう。

 

 西海岸に位置したチャージャーズと違って、遠征の移動距離が比較的短いのもベテラン選手には好材料だ。

 残された時間は多くないが、最後の花を咲かせるにはコルツはいいチームなのだと思う。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

最新記事