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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

トレンドは即戦力の獲得 近年のNFL補強事情

2020.3.11 11:31 生沢 浩 いけざわ・ひろし
オフの目玉になるかもしれないチャージャーズのQBリバース(AP=共同)
オフの目玉になるかもしれないチャージャーズのQBリバース(AP=共同)

 

 あと1週間ほどでNFLの「2020年度」が始まり、フリーエージェント(FA)やトレードによる選手獲得が可能になる。

 

 4月23~25日にラスベガスで開催される予定の大学ドラフトまでの期間に補強の第1次ピークが訪れる。

 

 

 スーパーボウルに出場したチーフスと49ersが、ともにFAとトレードによる適材適所の補強に成功したことから、即戦力を他チームから引き抜く補強法が見直される傾向にある。

 

 それも前年にプレーオフに出場するなどある程度の結果を残したチームが積極的だ。

 

 

 昨年オフのチーフスがいい例だ。一昨年のチーフスは、先発1年目のQBパトリック・マホームズの大活躍によってAFC決勝まで勝ち進んだ。

2019年シーズン、チーフスをスーパーボウル優勝に導いたQBマホームズ(AP=共同)
2019年シーズン、チーフスをスーパーボウル優勝に導いたQBマホームズ(AP=共同)

 

 ペイトリオッツに敗れたものの、昨年は見事にスーパーボウル優勝を果たした。その背景にはAFC決勝で露呈したディフェンスの人材不足に的を絞った補強策の成功があった。

 

 

 チーフスのアンディ・リードHCは長年の友人であり、信頼してきた守備コーディネーターのボブ・サットンを解任して、パスラッシュ構築のスペシャリストとして名高いスティーブ・スパグニューロを新コーディネーターに招いた。

 

 そして、従来の3―4守備隊形をあっさりと捨ててスパグニューロの得意とする4―3守備に転換し、DEフランク・クラーク、Sタイラン・マシュー、LBデイミアン・ウィルソンら、そのスキームでのプレー経験があるベテラン選手をかき集めた。その結果がスーパーボウル優勝に結びついた。

 

 

 これを準優勝の49ersに当てはめるとどのような補強策が考えられるだろうか。

 

 49ersもほぼすべてのポジションで有能な人材が揃っているが、スーパーボウルで優勝するためにレベルアップが必要な部分を一つ挙げるとするならばWRかもしれない。

 

 スーパーボウルでもWRによるTDパスキャッチはなかった。このポジションのTDが1、2回あれば試合結果はどうなっていたか分からない。

 

 

 49ersのエースWRはエマニュエル・サンダースだ。そこに新人のディーボ・サミュエルが絡むことによってQBジミー・ガロポロのパス攻撃を支えてきた。

 

 サンダースは10月にブロンコスからトレードで獲得した。彼もトレードの成功例なのだが、このオフにはFAとなるので49ersは再契約を最優先で考えたい。

 

 

 サンダースの慰留に成功したと仮定して、あと一人ベテランのWRが獲得できればオフェンスは格段に強くなる。

 

 さすがにA・J・グリーン(ベンガルズ)やアマリ・クーパー(カウボーイズ)クラスの獲得は難しいだろうが、セス・ロバーツ(レーベンズ)、ランドール・コブ(カウボーイズ)、ジェロニモ・アリソン(パッカーズ)あたりと契約できると面白い。

 

 

 FA制やトレードは選手獲得に高額な年俸が必要となることが多いから資金の少ないチームには敬遠されがちだったが、近年はこれらの補強策で急速にチーム力を整備するケースが少なくなく、見直されつつある。

 

 

 今年のオフはフィリップ・リバース(チャージャーズ)やテディ・ブリッジウオーター(セインツ)ら実績のあるベテランQBの多くがFAとなる予定で、もしかするとそこにトム・ブレイディ(ペイトリオッツ)やダック・プレスコット(カウボーイズ)も加わるかもしれない。

移籍の可能性があるNFLを代表する名QB、ペイトリオッツのブレイディ(AP=共同)
移籍の可能性があるNFLを代表する名QB、ペイトリオッツのブレイディ(AP=共同)

 

 こうしたビッグネームの争奪戦がどう展開するかも楽しみだ。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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