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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.323

2020.3.5 10:24 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
サイズを生かしたプレーが光った日本代表DL清家拓也選手(68)=日本アメリカンフットボール協会提供
サイズを生かしたプレーが光った日本代表DL清家拓也選手(68)=日本アメリカンフットボール協会提供

 

 「なめとんな!」。思わず下手な関西弁でつぶやいた。

 日本時間の3月2日、米テキサス州で行われた日本代表と米国のプロフットボール選手育成リーグ「THE SPRING LEAGUE(TSL)」選抜の試合をネット中継で観戦していたときのことだ。

 

 TSL選抜のオフェンスは序盤、なんとなく長いパスでTDを狙うような〝上から目線〟でプレーしているように見えた。

 前半の途中からは、スピードのある「JAPAN」守備陣の動きに慌てたのか、ランを織り交ぜた〝本気モード〟に切り替えてきた。

 

 16―36と結果的に20点差を付けられた日本代表だが、勝つチャンスはあった。

 特にディフェンス陣の集まりとプレースピードは秀逸で、フィジカル面を含めて日本のフットボールが着実に進化している証しだと感じた。

 

 今回の日本代表は、いわば急造チームである。2月に入ってトライアウトを実施し選手を選考。そこから毎週末と祝日だけの練習でよくここまで仕上がったと思う。

 藤田智ヘッドコーチ(HC=富士通シニアアドバイザー)を中心に、Xリーグの精鋭を集めたコーチ陣の選手個々のレベルアップにフォーカスした取り組みが、立命大時代から注目されていた主将のWR近江克仁選手(IBM)の卓越したリーダーシップと相まって、いいチームが出来上がった。

 

 相手のパントをブロックし、先制のFGを演出したオービックのDB山本泰世選手、インターセプトを記録したDL平澤徹選手はともに関学大出身。

 体重135キロのサイズを生かしたプレーが光ったDL清家拓也選手(オービック)と、好タックルを連発したDB中谷祥吾選手(IBM)は関大OBだ。

 競争の激しい関西学生リーグで修羅場を経験してきた「サムライ」は、国際試合でも頼りになるということなのだろう。

TSL選抜のボールキャリアを素早い反応でタックルする日本代表守備陣=日本アメリカンフットボール協会提供
TSL選抜のボールキャリアを素早い反応でタックルする日本代表守備陣=日本アメリカンフットボール協会提供

 

 「惜しい試合だった」は、勝負師としてチームを任されているHCにとっては何の慰めにもならない。

 試合後、藤田HCから送られてきたメッセージにはこう書かれていた。

 「残念で仕方がありません。長くフットボールに携わってきた者としては複雑な気持ちです。これを機に、戦術以外の部分で成長を促すことができればいいと思っています」

 

 日本のフットボールのクオリティーは、間違いなく高い。なめたらあかん!(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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