メニュー 閉じる メニュー
スポーツ

スポーツ

週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

残留か、それとも移籍か 注目されるペイトリオッツQBブレイディの動向

2020.3.4 10:53 生沢 浩 いけざわ・ひろし
レギュラーシーズンでテキサンズに敗れ2敗目を喫した、QBトム・ブレイディ(12)が率いるペイトリオッツ(AP=共同)
レギュラーシーズンでテキサンズに敗れ2敗目を喫した、QBトム・ブレイディ(12)が率いるペイトリオッツ(AP=共同)

 

 スーパーボウルで6度の優勝を果たし、ペイトリオッツだけでなくNFLの顔とも言うべきQBトム・ブレイディの移籍が現実味を帯びてきた。

 このコラムでも既に何度か取り上げているように、ブレイディとペイトリオッツの契約は今季限りで終了する予定で、リーグの新年度が始まる3月18日よりも前に契約延長が成立しなければ、ブレイディはフリーエージェント(FA)となってどのチームとも自由に移籍交渉ができるようになる。

 

 実は筆者は、「とは言ってもペイトリオッツがブレイディとたもとを分かつはずはない」と高をくくっていた。

 正直に言うと今もその気持ちは強いのだが、期限まで2週間を切ったとなると自信をもって断言できなくなる。

 

 複数の現地報道によると、ペイトリオッツは同じく18日以降にFAとなるDBデビン・マコーティーとは再契約の交渉を始めたようだ。

 ところが、いまだにブレイディサイドとの交渉の情報は伝わってこない。ブレイディほどの大物選手にしてはペイトリオッツの動きが鈍すぎるのだ。

 

 今年は全般的にNFLのFAをめぐる交渉はスローペースだ。それは現在リーグ、オーナーと選手会の間で新たな労使協約(CBA)締結のための協議が進められているからだ。

 CBAはサラリーキャップ制度における年俸総額を定めている。そのため、新CBAが合意に達し、即座に発効すればFA獲得への資金にも影響を与える。そのため各チームは様子見の状態なのだ。

 

 マサチューセッツ州ボストンの有力紙はブレイディの去就は当然大きな話題として取り上げているが、ブレイディがペイトリオッツを離脱すると予測する論調の記事が意外と多いことに驚く。

 その理由は上記の通り、交渉の進捗が見られないことと、2020年シーズンには43歳になっているブレイディの年齢だ。

 スタッツの上から見ると2019年のブレイディは彼の水準を下回る。それをペイトリオッツがブレイディを「見限る」根拠とする記事もあった。

大学バスケットボールに試合を観戦する、ペイトリオッツのQBトム・ブレイディ(左)(AP=共同)
大学バスケットボールの試合を観戦する、ペイトリオッツのQBトム・ブレイディ(左)(AP=共同)

 

 FAとなった後も、ブレイディがペイトリオッツと交渉して再契約をする可能性は残されているが、それは現実的には難しいとの見方もある。

 他チームが提示する契約を上回る内容のものをペイトリオッツが提示できる保証がないからだ。

 

 ブレイディがFAとなった瞬間に、複数のチームが獲得に名乗りを上げることは容易に想像できる。

 その際にどれだけの年俸が提示されるのかが鍵だ。現在、現地報道でブレイディ獲得のための目安とされている年俸は3000万ドル(約32億円)だ。

 これはミネソタを基盤とするスポーツジャーナリストのラリー・フィッツジェラルドSr.氏(カージナルスのWRラリー・フィッツジェラルドの父)が発表した記事がネタ元だ。

フィッツジェラルドSr.氏はブレイディ獲得の有力チームとしてレイダーズを挙げ、総額6000万ドルの2年契約を提示する用意があると報じた。

 ちなみに2019年にペイトリオッツがブレイディに払った金額の総額は2300万ドルとされる。参考までに現在のNFLでの最高額のサラリーはシーホークスのラッセル・ウィルソンの3500万ドルだ。

 

 獲得交渉でブレイディの年俸が高騰すればするほど、ペイトリオッツが彼を慰留する可能性は低くなる。

 おそらくペイトリオッツにとって3000万ドルは論外な金額だ。こうした競争に乗るようなチームではない。

 期限は刻一刻と迫っている。いつ何が起こるか予測できないが、ブレイディがFAとなればNFL全体がひっくり返るような騒ぎになることだけは間違いない。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

最新記事