試合数などを巡り対立必至 NFL労使協約交渉

NFLと選手の間には両者の労使関係を明確に定めた労使協約「Collective Bargaining Agreement」(CBA)が存在する。
現行のCBAは来年の3月で満期を迎えるため、今年はその更新のための交渉が行われている。
CBA交渉はNFLの提示した提案を全32チームのオーナーで協議し、そこで決議された内容をNFL選手会「NFL Players Association」(NFLPA)に提示し、合意した場合に発効される。
現行CBAは2011年に発効したが、合意までにNFLとNFLPAの間で交渉が難航し、4カ月半にわたるロックアウト(リーグ側の選手締め出し)が行われた。
今年の交渉も一筋縄ではいかないようで、NFLとオーナー側の提示に対して選手側が態度を保留している状態が続く。
今後の1、2週間で交渉がさらに進められることになるが両者が合意できないようだと来年のシーズンオフはロックアウトや選手側からのストライキを含めた大きな騒動に発展する可能性がある。
今回の交渉でリーグとオーナーが提示しているのは従来のレギュラーシーズンとプレーオフに大きな変更をもたらすものだ。
まず、レギュラーシーズンは現在の16試合制から1試合増やす提案がなされている。これはロジャー・グッデル・コミッショナーの2006年の就任以来の悲願と言ってもいい。
もともとは18試合制の提案だったが、日程の調整やNFLPAの反発から17試合という数字に落ち着いた。
NFLはレギュラーシーズンの期間(現在17週)を延長するつもりはなく、その代わりプレシーズンゲームを現行の1チーム4試合から3試合に減らし(ただし、殿堂記念試合は例外とする)ロースター枠を53から55、試合当日の登録人数を46から48に拡大することを提言している。
現在各チームはホームとロードゲームをそれぞれ8試合ずつこなしている。ロンドンやメキシコでの試合はその中に含まれる。
NFLの提案通りレギュラーシーズンゲームが1試合増えれば、その枠はアメリカ合衆国外の試合枠に使われるということだ。
もっとも、NFL側の提案では国外試合数は増やさないとの提案もなされていることから、国外試合は当面はイギリス(イギリス以外のヨーロッパも含む)とメキシコ、ブラジルに限定されると思われる。
国外試合を行わないチームはホームゲームを9試合、ロードを8試合行うことになる。
国外試合を行うチームとそうではないチームの不公平感をなくすためには、毎週どこかで国外試合が行われることも将来的には考慮されるかもしれない。
プレーオフは1990年以降、AFCとNFCともに6チーム(地区優勝4チーム、ワイルドカード2チーム)の出場というフォーマットで行われてきたが、NFLの新提案ではワイルドカードが1枠増えてカンファレンスで7チームがプレーオフに進出する。
現行ではカンファレンスの第1、2シードプレーオフ第1週(ワイルドカードラウンド)がバイウイークとなるが、新提案ではバイウイークの恩恵にあずかるのは第1シードだけとなる。
現在土曜日と日曜日に行われているワイルドカードラウンドは、増加分の2試合がマンデーナイトのダブルヘッダーの開催となる。
レギュラーシーズンゲームの1試合増やプレーオフのシステム変更は、NFLのマーケティング拡大と収入増につながる。
試合数増加を歓迎するファンの支持も得られるだろう。しかし、負担増となる選手側はそう簡単には同意しない模様だ。
現在NFLの総収入の47%を占める選手側の取り分が増加されることも検討されているが、それでも50%には届かないという。
負担が増えれば故障のリスクも高くなり、結果的に選手寿命の短期化や後遺症の深刻化につながる恐れもある。簡単には受け入れられない内容で、今回も交渉が難航する可能性が高い。
リーグも選手会も双方の利益に基づく主張を繰り広げるのは構わない。ただし、それによってロックアウトやストライキが起きた場合、最も被害を被るのはファンであることを忘れてはならない。