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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.321

2020.2.21 14:55 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
史上最多を更新する30度目の優勝を喜ぶ関学大の選手ら=2019年12月15日、阪神甲子園球場
史上最多を更新する30度目の優勝を喜ぶ関学大の選手ら=2019年12月15日、阪神甲子園球場

 

 現代は「カリスマ」が住みにくい世の中である。強烈な個性を持ち、独特のオーラを発するカリスマは、時に「理不尽」を強いて自分の周りに集まった人間をふるいにかける。

 「この人についていけば間違いない」と判断した者は残り「自分には荷が重すぎる」と思った者は去っていく。

 

 そもそも「脱落者を出さない」を是とする組織では、強権的なカリスマの居場所はない。

 「ストレス」を感じる環境はできるだけ排除して、全員で目標に近づく努力をすることが望ましいとされるのが今の風潮だからだ。

 

 もし一般常識やルールを逸脱した命令系統が存在するなら、それは「理不尽」の範疇を超えている。

 ここで言う「理不尽」とは、主従関係の「従」の成長を促すために、「主」が努力目標をかなり高めに設定することを意味する。

 これは簡単そうでとても難しい。そこには、個々の特徴や力量を見抜く確かな目が必要だからだ。

 

 学生王者の関学大は、毎年2月に兵庫県三田市で新チームが「千刈合宿」と呼ばれるキャンプを張る。

 この合宿練習では、泥田のようなところでレスリングをしたり、ダミーを担いで走ったりと、あえて学生を精神的、肉体的に追い込む厳しい鍛錬を実施している。

 当然、そこには事故を防ぐために「大人の目」が存在している。

 

 カリスマ性を備えた指導者は魅力的ではあるが、長いスパンで考えた場合、その存在がチーム作りという点で足かせになることがある。

 規律を保ちながら、時代に合った指導法をいち早く確立した組織が生き残る時代。メリハリも大事で、そこでは監督、コーチの知恵が試されることになる。

 

 野菜は寒さに耐えることで葉や根の中の糖分が増して、美味しくなるそうだ。

 野菜にとってストレスになる寒さは試練であり、それを乗り越えたときに作り手の期待に応える一級品ならではの味わいになるという。

 

 冬に鍛える。2020年シーズンは、既に始まっているのである。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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