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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

フットボールは文化、母校愛も体験 久しぶりのアメリカ訪問で思うことVol.3

2020.1.23 11:15 中村 多聞 なかむら・たもん
サンノゼ州立大のブレント・ブレナンHCと中村多聞さん=提供・中村多聞さん
サンノゼ州立大のブレント・ブレナンHCと中村多聞さん=提供・中村多聞さん

 

 さて国内のシーズンが終了し、NFLもオールスター戦と決勝戦の「スーパーボウル」を残すのみとなりました。

 

 少し間が空いてしまいましたが「渡米インプレッション」の続きを書きたいと思います。

 外食産業のチェックは外で食事する度にできるのですが、フットボールのことはいくらアメリカでもそこら中で試合や練習をしているわけではありません。

 しかも高校生や大学生はそろそろリーグ戦が終わっている時期でしたので、プレーオフやチャンピオンシップがわずかに残されているだけでした。

 

 調べると中村家の〝別荘〟の周りにも多くの高校があるようですが、フットボールチームの練習スケジュールについては調査できません。

 そうしたことは公開していないのか、中村ファミリーの検索能力が低いのかは分かりませんが、とにかくいくつかの試合開催情報だけはキャッチできました。

 

 金曜の夜、車で30分も行けば到着です。試合前の練習なども見ておきたいのでキックオフ90分前に到着しました。

 フットボールスタジアム横の駐車場は混んでいて大行列になっています。さすが決勝戦。ご近所さんが家族でワイワイガヤガヤと車から降りてスタジアムの方に歩いて行く集団について行きました。

熱心なファンが集まる高校の試合の客席=提供・中村多聞さん
熱心なファンが集まる高校の試合の客席=提供・中村多聞さん

 

 入場料は大人が10ドル。「ゲートを過ぎれば再入場はできません」と告げられ、その後に「試合開始が遅れるけど君らはもう入るのか?」と聞かれました。「なんじゃそら?」とSNSで確認すると、相手チームのバスが途中で事故に巻き込まれたとかで「キックオフが1時間遅れる」なんて書いてあります。

 

 カリフォルニアといえども季節は冬。それほど厚着していなかった僕ら父娘は迷いましたが、辺りを見渡してもレストランやデパートなどの屋内施設はありません。

 そのまま進みました。観客席には我々同様、既に陣取っている人たちで半分ほどは埋まっていました。

 

 お金を持って来ていなかったので、売店はあるのですが何も買えずジーっと客席で待つこと60分。ホーム側チームの一部分であろう少人数がフィールドに入って来てウオームアップを始めました。

 ああいよいよかと思っているこの時点で、キックオフまでは30分あります。

 そこで放送が入ります。「会場のみんなー、キックオフはあと90分後になったぜー! よろしく!」みたいなことを言っています。

 

 ここまで待ってくじけるわけにもいかず、またまたジーっと待つこと60分。おいおい。

 キックオフ30分前になっても相手チーム来てないがな。またここから待たされるに違いない。しかしナケナシの所持金から入場料を払っているので、試合を見ずに帰るわけにもいきません。

 昔アメフトで鍛えた根性をフルに発揮し、なんとか試合を観戦しました。付き合わされた次女(21歳)は、寒さで家に帰りたい病を発症していましたが気にせず観戦する父でした。

 

 高校フットボールにどのようなお客さんが来ているのかは、ご想像の通りご父兄とクラスメートといった感じで、いわゆるチーム関係者の知人とそのお友達、といったところでしょうか。

 活躍する選手にキャーキャー言っている女子高生グループに、お父ちゃんお母ちゃん、満席になっているキャパシティー推定2000人ほどの小さなスタジアムで、週末の夜をとても楽しそうに過ごしていました。

 無理に連れてこられているグループもいないようで、プレーに対する歓声のリアクションも素早く熱心で、僕のような超のつくフットボールマニアと同じ目で見ているのがよく理解できました。アメリカ文化、すごいです。

アメリカの大学の練習風景=提供・中村多聞さん
アメリカの大学の練習風景=提供・中村多聞さん

 

 次女が通っている大学のチーム練習には何度か見学に行きました。僕にはTシャツやその他のグッズを販売しているような母校がありません。

 ですから僕以外のフットボール選手(元選手も含め)たちの母校愛が微塵も理解できていませんでした。

 毎年1月に日本で開催されるフラッグフットボールの大学OB対抗戦「 ハドルボウル」には、母校愛にあふれたオッチャン達が集まります。

 この「大同窓会」にも、大会を盛り上げる係の特別ゲストチームとして出場していましたが、深い部分の母校愛を理解できませんでした。なおかつ、それをとても羨ましく思っていました。

 

 しかーし! 娘が通う大学。すなわち僕がほとんどの費用を支払っているので、まるで自分の大学のような気持ちになっているわけです。

 だから憧れの「MY大学グッズ」もバーゲン品ですがいくつか買いました。関係者になってそのウエアを着るのです。

 このジワーっとくる喜びは、大きな大きなトロフィーやキラキラ光る立派な優勝リングとはまた違う種類のうれしさです。

 

 長女は既に大学を卒業し、この「MY大学感」を一度も味わうことができなかったので、アメリカに来て良かったなと感じたのでした。

 

 この大学のフットボールチームでヘッドコーチ(HC)をしているのは、Xリーグの富士通フロンティアーズで活躍したWRブラッド・ブレナンさんのお兄さんのブレントさんです。

 ノジマ相模原ライズのアドバイザーであるデービッド・パウロズニクさんに連絡を取ってもらい、練習法などいろいろとうかがうことができました。

 数日後に控えた、ホームで行われるリーグ最終戦のチケットまで用意してくいださり、とても親切にしていただきました。

 ブレナンHC、ありがとうございました!

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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